限られたアプリ
ハードウェアやデスクトップモードが強力なMatePad Proですが、問題はアプリです。MatePad ProはOSにAndroid 10.1をベースにしたEMUI 10.1.0を搭載しています。米中の経済摩擦の影響を受けて、ファーウェイはGoogleのGMS(Google Mobile Serivices)を搭載できないため、Google Play、Gmail、GoogleマップといったGoogle純正アプリをプリインストールしていません(後からインストールもできません)。
特に問題となるのがGoogle Playです。Android向けアプリをインストールするフロントとなるGoogle Playがないため、多くのアプリをインストールできないのです。動画であればYouTubeやNetflix、Huluに加え、日本のTVerもありません。電子書籍ではKindleなど各種電子書籍アプリ、写真ではアドビ系のLightroomなど、動画編集アプリも多くはありません。
代わりにアプリストアとして搭載されているのが「AppGallery」です。アプリ開発者がAppGallery対応を行う必要があるため、すべてのAndroidアプリがそのまま移行できるわけではありません。現状、アプリ数は限られています。
覚えておきたいのは、Webブラウザベースのサービスなら問題なく使えること。Googleサービスの多くはWebブラウザでも利用できるので、Gmail、Googleマップ、YouTubeなどは大きな問題はないでしょう。電子書籍のGoogleブックスもある程度は利用できますし、Kindleやebook japanもWebブラウザをサポートしています。ただし、完全にアプリと同レベルではないというのが残念な点です(アプリ版とWeb版は、機能やUIが異なる場合があります)。
画像編集はGoogleフォトのWeb版が快適に動作しますし、こうしたWebブラウザベースのサービスをメインにすれば、それなりに使いこなせそうです。ただ、付属のWebブラウザ自体が全画面表示にならないなど、「アプリ代わり」として使うにはやや実力不足が気になりました。Webブラウザアプリとしては、Opera Browserなどいくつか候補はあるようです。
さて、AppGalleryを検索すると、日本のアプリも増えてきています。LINEやMicrosoft Officeアプリがあるのは助かりますが、Twitter、Facebook、Instagramといった米国発のサービス(アプリ)は少ないようです。一方で、TikTokのような中国発のサービスのアプリはそろっている印象です。
今であれば、Zoom用クライアントをダウンロードできるのは大きなメリットかもしれません。MicrosoftのTeamsはありませんが、Zoom会議を大画面タブレットで実施できるのは便利です。日本語入力システムは、ATOK for Androidはありませんが、Simejiはダウンロードできます。
AppGalleryでアプリを検索すると、「Google PlayにはあるけどAppGalleryにはない」というアプリが表示されます。もちろんインストールはできませんが、「追加」ボタンをタップしてウィッシュリストに登録できるようです。数が多いものから、ファーウェイが開発者に交渉して、AppGalleryへ提供を推進していく、ということかもしれません。
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AppGalleryを検索してみると、実際はインストールできないアプリもリストアップされます。「追加」するとウィッシュリストに登録されるので、要望が多ければファーウェイも力を入れてくれるかもしれません
気になるのは、タブレット用UIのないアプリがいくつかあることです。たとえば、LINEとNAVITIMEが該当します。タブレット用UIのないアプリは縦画面しか使えないことがあり、LINEの場合、トップ画面とトーク画面を切り替えるたびに縦横がくるくると切り替わってしまいます。
先述のデスクトップモードであれば、横持ちが前提かつウィンドウモードで表示されるので、スマートフォンのような表示になって使いやすくなります。このように使い分けができなくはないのですが、完全なタブレット用UIがあったほうが使いやすいのは間違いありません。ファーウェイやアプリ開発者に期待したいところです。
AppGalleryは着実にアプリ数を増やしています。現時点では、Google Playと比べて圧倒的にアプリ数が少ないのは確かです。そうした中、タブレットで使いやすいアプリをどれだけそろえられるかも、大きなカギになるのではないでしょうか。