ファーウェイが同社フラッグシップスマホ「P40」シリーズの日本発売を発表した。イオンモバイル、エキサイトモバイルといったMVNOが扱うほか、量販店や各オンライン通販サイトで販売される。ハイエンドのP40 Pro 5Gが税別108,000円だが、その磨きがかかったカメラ機能に魅力を感じるユーザーは少なくないはずだ。

2020年のP40シリーズはオンデマンドAIによる画像解析に力が入っていて、主要被写体人物以外の歩行者を検出して消去したり、ショーウィンドウなどの内部を撮影する際の反射を除去するような機能が注目されている。

  • ビックカメラ AKIBAの壁面広告がP40 Pro 5Gに切り替わった。発売は6月12日

    ビックカメラ AKIBAの壁面広告がP40 Pro 5Gに切り替わった。発売は6月12日

こうした機能は、いわゆるデジカメ専用機にも欲しいのだが、残念ながら、そこに注力する製品は見つからない。スマホのカメラ機能はカメラのタブーへのあくなきチャレンジといえるかもしれない。ならば、カメラを買ったつもりでカメラ機能が充実した製品としてP40シリーズを選ぶという選択肢もありそうだ。

Google Playストア不在の高性能スマホ

ご存じのように、ファーウェイは現時点でGMS(Googleモバイルサービス)を搭載できない憂き目に遭っていて、早い話が、いわゆるGoogleのサービスをP40シリーズから利用することができない。ただ、誤解しているかたが多いようなのだが、ファーウェイ機からGoogleのアクセスがまったくできないわけではない。ブラウザは最初からインストールされていて、それを使えばGoogle検索もできるし、各種のGoogleサービスページも利用できる。まるでGoogleが使えないわけではないのだ。

  • P40 Pro 5Gの実機。カメラ機能は優秀だが、アプリストアも含めGoogleアプリが使えない点がおおきな懸念点だ

また、アプリについては、Google Playストアが使えないため、ファーウェイ独自のアプリストア経由で入手する必要がある。ただ、アプリの数や種類となると、Google Playストアとは比較にならないほど少ない。そのため、必要なアプリが入手できず困るということはあるにちがいない。ただし、LINEはすでに提供されている。

必要なアプリ入手の奥の手としては、Amazonのアプリストアを経由するという方法がある。

ファーウェイのアプリストアが充実したものになって、Google Playストアに匹敵するようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうだが、Amazonのアプリストアはそれなりに誰もが欲しいと思うであろうアプリが揃っている。たとえば、Facebook、Facebook MessengerやInstagram、Twitterなどはここで入手すればアプリとしてインストールすることができる。

  • カメラ機能の1つとして、人が後ろを通りかかった写真から、背景の通行人を除去できる機能がある

最低限の使用環境は整えられる

その一方で、ポケモンGOを入手する方法がないなど、各社の対応が待たれるアプリもある。YouTubeもそのひとつだ。実際には、Amazonのアプリストアには、Google純正のYouTubeアプリが登録されていて、Amazon Fire HDシリーズなど、Amazonタブレット製品からなら容易に入手はできるのだが、P40でAmazonアプリストアからYouTubeアプリをインストールしようとしても互換性がないとされてインストールできない。もちろん、ブラウザを使えば普通にコンテンツを再生することができる。

Microsoft系はどうかというと、最初からOfficeアプリがインストールされていて、WordやExcel、PowerPointといったOfficeデータを扱うことができる。また、OneDriveやOutlookといったMicrosoft系のアプリはAmazonのアプリストアに登録されている。だからP40で写真を撮影し、そのデータをOneDriveに自動アップロードといったことは普通にできる。もちろん、Amazon Photoへの自動アップロードも同様だ。

こうしてブラウザとAmazonアプリストアを併用すれば、個人的には日常的に使っているのとほぼ同じ環境をP40シリーズ上に構築することができる。しつこいようだが、個人的な環境として不便に感じているのはポケモンGOを入れることができないことくらいだ。あとは、Googleマップのナビが機能しないなど……。

もちろんAndroid OSである以上、必要なアプリについてはなんらかの方法でアプリの実行ファイルを入手し、インストールして使える可能性はあるかもしれない。ただ、そのためには端末をセキュリティ的に危険な状態にすることになってしまう。だから、万人にお勧めすることはできない。

選択肢が狭まってしまうことが残念

結局のところ、欲しいアプリはまずファーウェイ独自のアプリストアで探す(Google系アプリは皆無)→なければAmazonのアプリストアで探す(Google系アプリがあっても互換性がないとされる)→それでもなければブラウザでサイトを開く(アプリの代用)、といった順序でサービスを使うしかない。

言うまでもないがあまりにも不便だ。でも、考えようによっては、PCで各種のインターネットサービスを使うのとあまりかわらないともいえる。たとえば、PCでポケモンGOを遊ぶことはできないし、(表示設定をいじらなければ)Instagramへの投稿もできない。

普通の人が普通のスマホとして購入してしまうとGoogleの各種アプリが使えない。当たり前のアプリとして期待されるマップもだめならYouTubeもダメという環境にとまどうことになるだろう。だが、わかった上で、カメラ機能を高く評価して購入するなら、それもありなのかもしれない。カメラを買ったら、最低限のアプリも使える5G通信機能つきのAndroid端末だったというくらいに思えばいいということだ。

優れたハードウェアなのに、さまざまな事情で、結果的にエンドユーザーの選択肢が狭まってしまうのはとても残念なことだ。各社の切磋琢磨の繰り返しで高い次元に昇華してきた製品群からファーウェイが脱落してしまうことは、今後の製品の進化にも少なからず影響を与えることになるだろう。エンドユーザーにとっては、競争の結果としてより優れた製品を入手するという、消費者の買い物時の選択肢が狭まることにもなる。

XperiaやAQUOS、Arrows、Galaxy、iPhoneといったシリーズが進化を止めないのは、ファーウェイ機に限ったことではないが、他社製品に追いつかれまいとする、あるいは、追いつかなければ市場に受け入れられないという危機感があるからだ。そしてエンドユーザーからは「ファーウェイを選ばない」という自由も奪われている。少なくともそのことは頭の片隅においておきたい。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)