ファーウェイ・ジャパンは6月2日、日本向けの新製品を一挙発表しました。新発売となるのはスマートフォン3台、タブレット3台、ノートPC 1台、完全ワイヤレスイヤホン1製品の計8種類。タブレットの上位モデル「MatePad Pro」など、タブレット/ノートPC/完全ワイヤレスイヤホンの実機写真を交えて各製品の特徴をお伝えしましょう。

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    MatePad Pro。別売の専用ペン「M-Pencil」とスマートワイヤレスキーボードを装着したところ

狭額縁タブレット「MatePad Pro」、ペンやキーボードも

MatePad Proは、ハイエンドスマートフォン並みの性能を備えたAndroid 10搭載タブレット。ここ数年、高性能なタブレット製品はiPad以外の選択肢が乏しかっただけに、出色の製品と言えます。

iPad Proに似たデザインで、角に丸みのある10.8型ディスプレイをコンパクトなボディに収めています。画面右上にインカメラを備えるパンチホールデザインを採用し、上下左右のベゼルは約4.9mmとiPad以上に切り詰めました。

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    MatePad Proの本体(写真はメーカーの試用機)

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    MatePad Proの裏側(写真はメーカーの試用機)

ファーウェイのハイエンドスマホ「P40 Pro」にも使われているチップセット「Kirin 990」と6GBメモリを搭載し、処理能力の高さが強み。ファーウェイスマホの画面をタブレット上に表示する機能などを搭載しています。4つの独立したスピーカーを搭載し、HUAWEI Histen6.0サラウンド効果とHarman Kardonによる音響チューニングを採用。映画や音楽、ゲームなどのサウンドを高音質に楽しめるとしています。

さらに、ファーウェイのタブレットとして初めてワイヤレス充電に対応。ワイヤレス充電では15Wで本体を急速充電できます。また、タブレットからスマホや完全ワイヤレスイヤホンへ最大7.5Wで給電する機能も備えています。

別売の「スマートワイヤレスキーボード」(税別14,900円前後)や、最大4,096段階の筆圧感知で繊細なタッチを再現するスタイラスペン「M-Pencil」(税別9,990円前後)に対応し、アイビスペイントやメディバンペイントといったイラストアプリやMicrosoft Officeなどで活用できます。専用ペンはMatePad Pro本体に磁石でくっつけて充電できるのもポイントです。

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    別売のスマートワイヤレスキーボードをつなげてノートPC風に使える

6月12日発売で、価格はオープンプライス、店頭価格は税別59,800円前後を見込んでいます。Androidタブレットとしては値段が高めですが、iPad Proに近い性能にしてはお手ごろな価格設定とも考えられます。後ほど紹介する“Google系サービスが使えない”問題を踏まえても、活用のしがいのある1台と言えるでしょう。

DCI-P3色域対応で10.8型/2,560×1,600ドットのディスプレイを搭載(四角とした想定で算出した場合の数値。角丸デザインのため、実際に見える範囲はわずかに小さくなります)。大きさは約246×159×7.2mm(縦×横×厚さ)、重さは約460g。ストレージは128GB。microSDには非対応ですが、ファーウェイ独自規格のメモリデバイス「NMカード」により、最大256GBまでストレージ容量を追加できます。

モバイル通信は非対応で、IEEE802.11ac/a/b/g/n対応の無線LANとBluetooth 5.1をサポートします。3.5mmイヤホンジャックは非搭載ですが、USB Type-C-3.5mm変換アダプターが付属します。

バッテリー容量は7,250mAhで、1080pのローカル動画をタブレット単体で再生した場合、約12時間の稼働が可能。2.5時間でフル充電できます。インタフェースはUSB Type-C(USB 3.1)。カラーはミッドナイトグレーの1色のみとなります。

10.4型「MatePad」はLTEモデルも用意

MatePadは、上位のMatePad Proは手が届きにくい人も選びやすい、性能と価格のバランスが取れたタブレットです。6月12日発売で、店頭価格はWi-Fiモデルが税別29,800円前後、LTEモデルは税別36,182円前後となる見込みです。

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    MatePad

画面サイズは10.4型とMatePad Proよりやや小さいものの、狭額縁デザインや7,250mAhの大容量バッテリーは共通。MatePad Proにはない、LTE対応モデルも用意されています。

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    MatePadの背面

MatePadのチップセットは“フラッグシップレベル”のチップセット「Kirin 810」を搭載。ライバルのクアルコム「Snapdragon」シリーズで例えるなら、Snapdragon 730に近い性能となっています。メモリは3GB。

ストレージは32GBで、MatePad Proと比べて少なめです。写真を撮りためたり、ゲームをよく遊ぶような人には容量が不足しそうですが、動画や電子雑誌を見放題サービスで楽しむような使い方であれば、特に問題にはならないでしょう。

MatePad Proと同様にMatePadも4つのスピーカーを搭載し、Harman/Kardonのチューニングを採用。オーディオは上位機種ゆずりと言えます。

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    MatePad(左)の画面は、上位モデルのMatePad Pro(右)と比べて一回り小さく、ベゼルもやや太めです

別売のスタイラスペン「M-Pencil」に対応していますが、MatePad Proのようにくっつけて充電することはできません。M-Pencilの充電アダプターを介してUSB端子から充電できます。

10.4型IPS液晶ディスプレイを搭載し、解像度は2,000×1,200ドット。1080pのローカル動画をタブレット単体で再生した場合、約12時間の稼働が可能。3.8時間でフル充電できます。

大きさは約245×155×7.4mm(縦×横×厚さ)、重さは約450g。LTE版は国内4キャリアの4G LTE通信をサポートしています。インタフェースはUSB Type-C(USB 2.0)を搭載します。カラーはミッドナイトグレー1色です。

約1.4万円のコンパクトな8型タブレット「MatePad T8」

ファーウェイのタブレット入門機といえる一台が、8型ディスプレイ搭載の「MatePad T8」。Wi-Fiモデルのみで、発売は7月初旬を予定しており、店頭価格は税別13,900円を見込んでいます。

エントリーモデルですが、左右のベゼル幅は約4.9mmと上位機種MatePad Pro並みの狭額縁デザインを採用。コンパクトに持ち運べて、電子雑誌やマンガを読むのに適したサイズ感です。

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    MatePad T8

バッテリー容量は5,100mAhと大きく、1080pのローカル動画をタブレット単体で再生した場合、約12時間の稼働が可能です。カラーはディープシーブルー。見た目は価格相応ながら、メインパーツにサンドブラスト仕上げのメタル素材を用いることで、質感を高めています。

メディアテックのオクタコアCPU「MT8768」を搭載。メモリは2GBで、ストレージは16GB。最大512GBのmicroSDが利用できます。インタフェースはmicroUSB。低価格タブレットではAmazonのFireシリーズがありますが、MatePad T8はスペック的にも有望な対抗馬となりそうです。

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    MatePad T8の裏面

独自のアプリストア「AppGallery」でアプリ不足に対応

今回発表されたファーウェイのスマートフォン/タブレットはすべてAndroid 10を搭載していますが、ファーウェイが米国から受けている制裁の影響により、Googleモバイルサービス(GMS)には非対応となっています。GmailやYouTubeといったGoogleのアプリだけでなく、アプリストアのGoogle Playも使えないので、多くの有名アプリがファーウェイのAndroidデバイスで利用できない状態です。

代わりに、ファーウェイは独自のアプリストア「AppGallery」にテコ入れを図っており、たとえばLINEやMicrosoft Office、ナビタイム、アイビスペイントといったメジャーアプリがストアに並びはじめています。

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    Google PlayやApp Storeと比べると数が限られますが、ファーウェイ独自のアプリストア「AppGallery」で手に入るアプリが増えています

また、Androidでは「サードパーティのアプリストア」が存在します。代表的なのがAmazonアプリストアで、ファーウェイのスマホやタブレットにも同ストアからアプリを追加できます。このストアを利用して、MatePadシリーズにTwitterやFacebookといったアプリを追加することも可能です。

解決手段は存在しますが、それでもファーウェイのAndroidデバイスを使う際には、「アプリ不足」に悩まされることになりそうです。使いたいアプリの対応状況を見定めてからの購入をおすすめします。