2019年10月の電気通信事業法改正以降、中古スマホ市場は盛り上がりを続けています。そのようななか、家電量販店のエディオンが複数の店舗で導入を開始した「スマホ買取AI査定サービス」に注目が集まっています。

このサービスは、中国のスマホ回収企業・壹站收が開発した「EPBOX」という査定専用端末を利用することで、スタッフを介することなくスマホの型番やキズ、バッテリーの状態などを自動でチェック。早ければ、トータル3分程度で査定金額が弾き出せるという先進的なサービスです。

エディオンは2019年12月に導入を開始し、現在の導入店舗はなんば本店(大阪市中央区)やモザイクモール港北店(横浜市港北区)、横浜店(横浜市中区)、豊田本店(愛知県豊田市)、イオンモール福津店(福岡県福津市)など9店舗。今回はモザイクモール港北店を訪ね、EPBOXによる査定を体験してみました。

  • エディオン店内の携帯電話コーナーに設置されている査定専用端末「EPBOX」

    エディオン店内の携帯電話コーナーに設置されているEPBOX

  • ショッピングモール内にあるエディオン モザイクモール港北店に取材した

iPhone SE(32GB)の場合、査定自体は30秒程度で終了

EPBOXでの査定にあたって、端末の初期化やSIMカードの抜き取りは必要なく、EPBOXから発信されるWi-Fiに接続することだけが必須条件となります。つまり、壊れておらずWi-Fiの接続設定ができる状態のスマホなら、査定が気軽に試せるわけです。

端末の初期化や本人確認書類の提示が求められるのは、店舗に買い取ってもらう段階になってから。面倒な手続きなしに、ひとまず「いくらぐらいで売れるのか」を確認できるのがポイントです。

今回は、2年前まで使っていたiPhone SE(32GB)で試してみました。まずはEPBOXの液晶画面をタッチして、iPhoneをEPBOXのケーブルに接続します。ここで10秒程度待つと、スマホの基本的な情報がインプットされて次のステップに進む流れです。

  • ケーブルを接続して、iPhoneなら「信頼」、AndroidならUSBデバッグを「オン」にする

  • 情報の読み取りが完了した画面

続いて、指定のWi-Fiへの接続を促されるので、ケーブルを外して設定をします。正しく接続できたら、画面下のボックスが電動で開くので、査定したいスマホを入れて「査定スタート」を押します。ここで内部を詳しく調べると同時に、表面の傷や汚れなども調べられます(取材ではケースを付けたまま入れてしまいましたが、より正確を期すなら本体のみ入れたほうがよいでしょう)。

メモリー容量は32GBで中身もほとんど空だったこともあり、30秒ほどで終了しました。

  • Wi-Fiに接続したままスマホをボックスに入れる

  • 査定中の画面。ボックスのカバーが閉じるので、スマホは取り出せない

続いて、水没の有無や付属品の有無などのチェック項目を確認すると、具体的な査定金額が表示されます。ディスプレイの傷やバッテリー状態、ネットワーク利用制限の有無などもチェックしたうえでの金額なので、かなり確度の高い情報といえます。

  • 査定金額の表示画面。10円単位で細かく査定金額が弾き出される

買い取りを希望する場合は、このまま手続きに進むこともできます。ここで初めて、前述の身分証明書の提示やスマホの初期化作業が行われる流れです。

EPBOXでのトータルの作業時間は3分もかからない程度でした。画面に従って黙々と作業できるので、新型コロナウイルスの不安から「人との接触を最小限に抑えたい」と考えている人にも安心できる仕様といえそうです。

通信キャリアの下取りと天秤にかける使い方もアリ

同店では、2019年12月に導入して以来、EPBOXの利便性がじわじわと認知されている段階だといいます。

携帯電話コーナースタッフの戸枝光規さんは「いまのところは、機種変更などの相談を受けた際にEPBOXの利用を提案するスタイルが中心です。通信キャリアの下取りとEPBOXの査定額を見比べて、有利なほうを選ばれるという使い方ですね」と説明します。

バッテリーの消耗具合によってはEPBOXのほうが高い査定額が出ることもあり、利用者にはおおむね好評だといいます。4月初旬の緊急事態宣言から5月末まで臨時休業していたこともあり、まだAI自動査定の存在が伝わり切っていない感触があるとのことですが、利用機会が増えればおのずと受け入れられそうです。

「スタッフが人力で査定するよりもかなり早いですし、多くの人に利用してもらいたいですね。複数台お持ちの方はすべて試してみて、金額に納得できるスマホだけ買い取りに出していただくという使い方も大歓迎です」(戸枝さん)

  • EPBOXをガイドしてれた、携帯電話コーナースタッフの戸枝光規さん

スタッフによる査定では、1台につき早くても30分から1時間はかかってしまうところ、EPBOXなら数分で済ませられます。その圧倒的な効率の良さこそが、同社の導入動機だったといいます。

「2019年10月の法改正で、格安SIMや格安スマホとともに中古スマホ市場も活性化するとにらみ、スマホの買い取り事業を強化していくために導入しました。査定機を導入することで業務がスピーティになり、お客様にも喜んでもらえますから」(エディオン モバイル・ネットワーク商品部)

同社では、今後EPBOXの設置店を広げていくそうです。エディオンの導入店舗リストを見て、近所で試せるところがあれば、しまい込んだスマホの査定を試してみるのもよさそうです。