今回は、ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaにて空気清浄機の売れ筋を取材しました。インフルエンザと花粉の季節ということでアポイントメントを取ったのですが、売り場は予想外の様相を呈していました。新型コロナウイルス感染症の影響です。

同店コンシェルジュチームの高澤浩二氏は「まだ何が効くのか確かなのかは分かりませんが、空気をきれいにしておいて損なことはないだろうということで、高出力・高単価なモデルが異例な勢いで売れています」といいます。年末年始からじわじわと例年と違うトレンドが見えてくるようになり、2月に入ってからはより加速しているとのことです。

  • ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba 5階の空気清浄機売り場。コンシェルジュチームの高澤浩二氏にナビゲートしてもらう

そのなかで売れ筋ベスト5を挙げてもらいました。賢く購入するための三箇条を踏まえ、売れ筋を見ていきましょう。

  • 空気清浄機は高出力すぎて困ることはない。“大は小を兼ねる”精神で選ぼう。6畳間に30畳用というのもアリ。
  • リビングだけでなく、滞在時間が長い寝室や各自の部屋用も意識しよう。複数台購入する人も多い。
  • ホコリやニオイまで総合的に取る万能タイプや、除菌除ウイルスに特化したタイプがある。傾向をつかんで品定めを。

※本文と写真で掲載している価格は、2020年2月20日14:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

第1位:除菌ウイルス特化のパナソニック「ジアイーノ F-MV4100」が人気で枯渇

1位となっていたのは、パナソニックの18畳用空間除菌脱臭機「ジアイーノ F-MV4100」でした。狭義の空気清浄機が空気中のホコリや花粉を集めて清浄するのに対して、ジアイーノは菌やウイルス、臭いに対して効果があるといわれる次亜塩素酸を発生させます。

税込み12万9800円と高価なモデルながら、人気に在庫が追いつかず、取材時の時点で次回入荷は「3月下旬以降」となっていました。

「除菌除ウイルスに特化したタイプで、価格的にも本来は売れ筋上位に入りづらい特殊な製品ですが、とにかく指名で求められます。現在はご年配の方を中心に相談されますが、年末年始のころは中国の方によく売れていました。変圧器を使えばあちらでも使えますから」

  • パナソニック「ジアイーノ F-MV4100」

なお、取材時点ではF-MV4100を除くジアイーノ上位モデルは在庫がありましたが、品切れすると再入荷に不安があるという点は共通しているそうです。

「国内製造のモデルでも、大抵の家電は中国製の部品を多く使っていますから、現在は普段どおりの調達が難しくなっています。欲しいモノはお早めに、というのはすべての家電製品にいえることじゃないかなと思います」

第2位:最上級のプラズマクラスター機能を備えるシャープ「KI-LP100」

続く2位は、シャープの23畳タイプ「KI-LP100」です。イオン濃度を5万個/平方センチメートルまで高める「プラズマクラスターNEXT」機能を搭載する同社の空気清浄機のハイエンドモデルとなります。取材時の価格は税込み10万9670円でした。

「ダニやホコリ、花粉にも強い万能型で、プラズマクラスターがウイルスやカビ対策にも有効ということで人気です。例年なら5万~6万円のモデルが売れ筋上位に来ますが、今年はそこからより高出力高性能を求める人が多いように思います」

  • シャープ「KI-LP100」

第3位:ストリーマとイオン放出で清浄するダイキン工業「MCK70WY」

3位には、ダイキン工業の16畳モデル「ストリーマ空気清浄機 MCK70WY」が入りました。アクティブプラズマイオンを放出し、従来比2倍のストリーマユニットで空気の汚れや臭いを分解する仕組みを備えています。取材時の税込み価格は5万3800円です。

「こちらも万能型の空気清浄機となります。価格と性能のバランスが取れていて、例年なら一番人気になる有力候補といえますね」

  • ダイキン工業「ストリーマ空気清浄機 MCK70WY」

第4位:ナノイーX搭載のパナソニック万能型「F-VXS90」

MCK70WYのライバルといえるのが、4位に入ったパナソニックの20畳タイプ「F-VXS90」とのことです。イオン放出の「ナノイーX」機能を搭載し、花粉除去を促す気流も作れる万能型のモデルとなります。取材時の税込み価格は7万3020円でした。

「例年なら、こちらがパナソニックの売れ筋トップになっているのではないかと思います。Wi-Fiにも対応していますし、全方位で多機能なハイスペックモデルといえます」

  • パナソニック「F-VXS90」

第5位:スタイリッシュな特化型モデル「airocide APS-200」

5位には、再び除菌除ウイルス特化型のモデルがランクインしています。米国エアロサイド社の「airocide APS-200」。二酸化チタニウム触媒をコーティングしたガラス管を空気が通ることでカビや真菌、ウイルスなどを分解・除去する効果があります。取材時の税込み価格は9万9000円。

「スタイリッシュな外観なので、2019年8月に販売を開始してからはデザインや置き場所を重視する人に注目されていました。現在は対ウイルスの性能で購入する人が増えていますね。万能型の空気清浄機を置いてある部屋にプラスしたいといって買われる方も少なからずいらっしゃいます」

  • エアロサイド「airocide APS-200」

はみ出し情報…夏のことまで考えると蚊取り機能付きも要注目

空気清浄機はこの時期によく売れるものの、通年で使う人も多くいます。高澤さんはその観点から、ランキング外の注目モデルとしてシャープの12畳モデル「FU-LK50」を紹介してくれました。取材時の価格は税込み3万7970円です。

一般的な空気清浄機能に加えて、UVライトや黒い筐体で蚊をおびき寄せて吸い込み、内部の蚊取りシートで捕らえるという機能を備えているのが特徴です。

「通年で使うことを考えると嬉しい機能です。春や夏、その先まで考えて買い物するのがよいと思いますよ」

  • シャープ「FU-LK50」

著者プロフィール
古田雄介

古田雄介

フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『スマホの中身も「遺品」です』(中公新書ラクレ)、『ここが知りたい!デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。