2019年12月に発覚して世間を騒がせた、ハードディスク(HDD)の転売・情報流出事件。問題の発覚以降、HDDを安全に処分したいというニーズが高まっています。「HDD破壊サービス」を提供しているビックカメラに、サービスの詳細や状況を取材しました。

  • ビックカメラ有楽町店の5階にあるサービスサポートカウンター。サブリーダーの藤岡伸夫氏に伺った

※本文と写真で掲載している価格や情報は、2020年1月28日14:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

サービスの利用者層が全年齢に拡大

ビックカメラグループでは、2009年11月にソフマップが21店舗で「ハードディスク破壊サービス」を始めたのが最初となります。現在は、全国のビックカメラ系列店にて、1台税込み1,020円の料金で破壊サービスを提供しています。

ビックカメラ有楽町店 サブリーダーの藤岡伸夫氏によると、「依頼はあの事件のあとに跳ね上がりました」とのこと。現在は1日に3~4件、多いときで10件程度の依頼を受けているといいます。依頼者の層も、かつては年配の人が中心だったのが、全年齢に広がっているそう。

また、データ漏えい防止の意識が高まるなかで、内蔵HDDを破壊したうえでパソコンを下取りに出す、というパターンも増えていました。「Windows 7のサポート終了に伴う買い替え需要の高まりが後押ししているかもしれません。ただ、家電リサイクル法もあってパソコンは処分が大変なので、IDE HDDなどを搭載した本当に古いパソコンを持って来られる方もいらっしゃいます。HDDの破壊を機にパソコンを処分したいということで」

  • 取材時は、Windows 7終了に関連するキャンペーンを実施していた

SSDやフィーチャーフォンの破壊にも対応

同店がHDDの破壊に使用しているのは、キング・テックが製造している「CrushBox DB-25II」。フロントの挿入口にHDDをセットすると、複数の杭が横から出てきてHDDを貫通し、物理的に破壊する仕組みになっています。ものの10数秒で処理が完了し、穴が空いたHDDのデータは二度と読み出せなくなります。サービスを受け付けるカウンターでは、依頼者の目の前での処理にも応じているとのことです。

  • HDDの破壊に使用している「CrushBox DB-25II」

  • セットすると、何本もの杭が水平に出てきてHDDを貫通する仕組み

挿入口から入れられるサイズならば、ほかの電子機器を破壊することもできます。CrushBox DBの仕様を見ると、2.5/3.5インチHDDのほかに5インチMOやZipディスク、携帯電話などの破壊にも対応していると明記してあります。ビックカメラでも、2.5インチのHDDやSSD、バッテリーが外せるタイプの折り畳み携帯電話の破壊に応じてくれるそうです。

「バッテリーを破壊してしまうと火災のリスクがあるので、スマホは非対応とさせていただいております。Surfaceシリーズのようにストレージが本体から取り出せない機器も、CrushBox DBにセットできないのと、バッテリーの発火リスクの両面から受け付けていません」

6TB以上の大容量HDDのなかには、内部にヘリウムガスを充填していて回転するディスクの抵抗を軽減しているものがありますが、そちらは通常通り対応できるそうです。

破壊できない機器は「託す」「自力で頑張る」

破壊サービスが利用できないタイプのSSDやデジタル機器は、確実に消去作業をしてくれる信頼できる業者のサービスに託すか、自力で完全消去を施すことになります。

藤岡氏は「中古で値が付かないような古い機種でも、我々のカウンターで引き取って処分することもできますし、スマホならば通信キャリアの下取りサービスに出す手もあります」といいます。

ある程度の買い取り金額が期待できる製品を下取りに出すならば、できるだけ高く買い取ってもらいたいもの。パソコンを手放す場合に買い取り金額を上げるコツも教えてもらいました。

  • パソコンで特に減額率が高いのはACアダプターと電源コード。できる限りセットで持ち込もう。
  • 天板などにあとから貼り付けたシールは、ていねいにはがして持ち込むのがベター。シールは割と大きな減額対象になりやすい。
  • リカバリーをかけて工場出荷時の状態に戻すのがベター。パスワードがかかっていると査定できないこともある。
  • 同店では、売りたい機器をロッカーに入れるだけで買い取り査定が依頼でき、査定が終了したらメールで通知が届く「ラクウルポスト」も設置している。査定の間、お店で待たずに済むのが便利だ

消去サービスに頼らず、自力でデータ復元の可能性をなくすには、市販のデータ完全消去ソフトを利用したり、Windows標準の「cipher」コマンドでランダムなデータを上書きするのも有効です。環境が許せば、普段から暗号化を設定しておく手もあります。

スマホは、最近の機種ならば内蔵ストレージが標準で暗号化されているので、標準の手順に従ってフォーマットすれば復元されるリスクはほとんどなくなると考えられます。ただし、「おサイフケータイ」などの情報はSSDではなくFelicaチップに保存されているので、そちらの初期化を忘れないようにしましょう。

著者プロフィール
古田雄介

古田雄介

フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『スマホの中身も「遺品」です』(中公新書ラクレ)、『ここが知りたい!デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。