国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は、半導体前工程ファブのパワー半導体および化合物半導体デバイス向け投資が最終製品の需要が回復するとの見通しから2020年後半に反発し、2020年通年の市場は前年比8%減程度に抑えられ、その後、2021年に前年比59%増と急伸し、史上最高値を更新する69億ドルを記録するとの予測を発表した。

パワー半導体ならびに化合物半導体は、電力制御に必要なデバイスであり、ありとあらゆる産業で用いられている。SEMIでは2019年に、世界で804の製造ラインの生産能力を確認。合計の生産能力は200mmウェハ換算で月産800万枚ほどになるという。今後も2024年までに38の新規ラインが生産を開始する見通しで、これにより全体の生産能力は20%ほど押し上げられ、月産能力は970万枚に達するという。

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    パワーおよび化合物半導体前工程ファブの設備投資(単位:百万ドル)と前半期比の増減率(%)の変遷と今後の予測 (出所:SEMI)

また、地域別にみると、2019年から2024年の間にもっとも成長するのは中国で、同国におけるパワー半導体の生産能力は当該期間で50%、化合物半導体の生産能力も同87%ほど増加すると見ている。このほか、同期間にパワー半導体の生産能力が大きく増加するのは、欧州/中東(EMEA)と台湾、化合物半導体の生産能力が増加するのは米国とEMEAだという。

なお、ここ最近、SEMIをはじめ多くの業界団体や調査会社が市場予測を更新しているが、まずは新型コロナウイルスの感染拡大の収束がいつになるとの予測であるかを確認しておく必要がある。今回のSEMIの予測では感染拡大は今年前半に収束し、後半は経済が回復傾向に入ると見ているが、この前提条件に変化が生じれば、予測の見直しをする必要がでてくることとなる点に注意しておく必要があるだろう。