スマホで使える新しい交通系IC「モバイルPASMO」が3月18日にスタートして1カ月。当面はAndroidスマートフォン向けに提供され、従来のICカードと同じようにPASMO・Suica対応エリアで使えるほか、これまでSuicaでは利用できなかった、私鉄のみの定期券やバス定期券もアプリ上で買える点が特徴です(モバイルPASMOのはじめ方はこちら)

今回は、スマートフォンを中心にIT分野で活躍するライター・石井徹氏に、私鉄・バスで「スマホで定期」する方法や、一部機種で対応しているモバイルSuicaとの併用の仕方を教えていただきました。
※本記事に関する取材は、4月7日の緊急事態宣言が出される前に行われています。

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    「モバイルPASMO」は私鉄・バスの定期券がスマホで購入・利用できるのが大きなメリット

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    モバイルPASMOのアプリ画面

鉄道・バス定期券は簡単に買える

モバイルPASMOでは、鉄道とバスの定期券を1枚ずつ購入できます。従来のカード型PASMOと同様に、定期券区間は乗り放題となり、区間外乗車はチャージ分から差し引かれます。

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    モバイルPASMOのアプリから、鉄道・バス定期券を1枚ずつ購入できる

すでにモバイルPASMOでクレジットカードを登録まで済ませているなら、定期券の購入に手間はかかりません。鉄道定期券の場合、購入する鉄道会社を選び、経路を検索して、購入するという流れになります。

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    モバイルPASMOで使いたい定期券の経路を選んで入力する

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    途中で乗り換える駅・連絡方法が複数ある場合は、使いたい駅を選べる

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    モバイルPASMOの定期券の経路を入力し終わった

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    定期券の使用開始日と期間を選ぶ

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    モバイルPASMOの定期券購入内容を確認。支払いはアプリにあらかじめ設定したクレジットカードのみとなる

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    定期券の期限切れに気づかずに、モバイルPASMOの残額から料金が引き落とされるのを防ぐ機能も。デフォルトは「利用する」だが、「利用しない」にもできる

鉄道では、以下の事業者の定期券をモバイルPASMOから購入可能。これらの事業者を乗車駅に設定すれば、JR東日本などの路線を含む経路の定期券も購入できます。さらに、京王電鉄の「どっちーも」や西武新宿線の「Oneだぶる♪」のように、2つの通勤経路を選べる定期券や、東京メトロの全線定期のような特殊な定期券も買えます。いずれも継続購入はアプリ内から新規購入時と同じ手順で行えます。

なお、アプリで希望の経路が表示されない場合、モバイルPASMO サポートサイト上の申請フォームから申請する必要があります。

【モバイルPASMO 鉄道定期券対応事業者】

  • 小田急電鉄
  • 京王電鉄
  • 京成電鉄
  • 京浜急行電鉄
  • 埼玉高速鉄道
  • 相模鉄道
  • 首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)
  • 新京成電鉄
  • 西武鉄道
  • 千葉都市モノレール
  • 東急電鉄
  • 東京メトロ
  • 東京都交通局(都営地下鉄、都電、日暮里- 舎人ライナー)
  • 東武鉄道
  • 北総鉄道
  • ゆりかもめ
  • 横浜高速鉄道(みなとみらい線)
  • 横浜市交通局
  • 横浜シーサイドライン

バス定期券は以下の事業者に対応。バスの定期券がスマホで購入できるのは、モバイルPASMOならではの特長です。

【モバイルPASMO バス定期券対応事業者】

  • 江ノ電バス
  • 小田急バス
  • 川崎市交通局
  • 川崎鶴見臨港バス
  • 関東バス
  • 京王バス
  • 京成バス・京成タウンバス
  • 西武バス
  • 相鉄バス
  • 立川バス
  • 東急バス
  • 東京都交通局
  • 東洋バス・千葉シーサイドバス
  • 西東京バス
  • 日立自動車交通
  • 横浜市交通局

これまでのバス事業者のIC定期券は、窓口で購入してICカードやモバイルSuicaなどに登録する仕組みでした。この方式では券面には何も表示されず、カードに記録も残りませんでしたが、モバイルPASMOではアプリ上で有効期間や路線を確認できます。

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    モバイルPASMOはバス定期が買えるだけでなく、バス乗車回数に応じて運賃が割引される「バス特」の状況をアプリ画面でチェックできるのもメリットのひとつ

通学定期は18歳以上の大学生・専門学校生向け

モバイルPASMOでは通学定期券は購入の条件が限定されています。「大学・専門学校相当の学校に在籍」かつ「18歳で迎える4月1日以降」の場合に購入できます。

通学定期券の購入時は、書類での手続きが必要です。モバイルPASMOの会員メニューサイトから専用の申請用紙をダウンロードして、通学証明書や学生書のとともにサポートセンターに送付し、サポートセンターから確認メールが届いたらアプリで購入できるようになります。

残額・定期券の払い戻しはアプリ上で行う

モバイルPASMOは払い戻し手順もシンプル。アプリ上で払い戻しの手続きができます。払い戻しをすると、チャージされている残額から手数料210円が引かれた上で、手続きにて指定した銀行口座に振り込まれます。

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    モバイルPASMOアプリの管理画面から払い戻しが行える

また、定期券の払い戻しも可能です。払い戻しで返ってくる金額は鉄道・バス事業者が定めた規則に準じており、たとえば東京メトロでは「使用した月数分の定期運賃+手数料220円」を引いた額が払い戻されます。払い戻しはクレジットカードの請求を差し引くかたち(引き落とし済みの場合は返金)で、払い戻される金額は手続き時に確認できます。

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    モバイルPASMOアプリで購入した定期券の払い戻しもできる

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    定期券の払い戻し画面

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    定期券の払い戻しができる時間は5時〜23時45分まで。これ以外の時間では、写真のようなメッセージが表示される

モバイルSuicaと併用できるスマホはまだ少ない

モバイルPASMOを使う上で注意したいのは、「モバイルSuicaと併用できるのは一部の機種のみ」ということ。4月19日時点では、モバイルSuicaとモバイルPASMOが使えるのは以下の7機種に限られています。

  • Xperia 1
  • Xperia 5
  • Xperia 8
  • Pixel 4
  • Pixel 4 XL
  • Android One S6
  • AQUOS R 5G(NTTドコモ版・au版)

AQUOS R 5Gのソフトバンク版については、執筆時点ではモバイルSuicaのみの対応となり、モバイルPASMOは利用できませんが、今後両方に対応する予定とアナウンスされています。

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    Xperia 1の「おサイフケータイ」アプリ画面。モバイルSuicaとモバイルPASMOの併用に対応している

上記以外の機種では、すでにモバイルSuicaを登録・利用している場合はモバイルPASMOを追加登録できないので、モバイルPASMOを使うにはあらかじめモバイルSuicaを退会・削除する必要があります。

既存の多くのスマホで、モバイルPASMOとモバイルSuicaを同時に利用できない理由は明らかにされていませんが、おそらく「おサイフケータイ」(FeliCa)用のICチップの記録容量が関係していると思われます。今後発売されるおサイフケータイ対応機種では、モバイルSuica/PASMOを併用できる機種が増えることが見込まれます。

モバイルSuicaとモバイルPASMOの切り替え方

モバイルSuicaとモバイルPASMOを併用できる機種では、おサイフケータイアプリからどちらを優先的に使うかを切り替えられます。おサイフケータイアプリ上で「メインカード」として表示されているカードが、交通系IC支払いで使われることになります。

モバイルSuicaとモバイルPASMOを切り替えられるのはおサイフケータイアプリのみ。たとえば、モバイルPASMOアプリの画面を表示したままタッチしても、メインカードにモバイルSuicaが登録されていればそちらで支払われるので、注意が必要です。

頻繁にメインカードを切り替えて使うのはあまり想定されていない作りになっているため、メインの交通系ICをどちらかに決めて「モバイルSuicaからモバイルPASMOに移行したいけれど、まだSuicaの残高や定期券が残っている」というときに、とりあえず共存させておくといった使い方が無難でしょう。

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    モバイルPASMOは、Suicaなど各種交通系IC対応の自販機などで使える。ただし、モバイルSuicaとモバイルPASMOを併用できる機種で、メインカードをモバイルSuicaに設定している場合、写真のようにモバイルPASMOの画面を表示していてもモバイルSuicaで支払われる

機種変更はおサイフケータイアプリで行う

機種変更時のデータと残高の移行手続きは、モバイルSuicaよりも手軽な作りになっています。おサイフケータイアプリからの手続きでデータをクラウドサーバーに預けて、新しいスマホで受け取ります。

このデータ移行の手続きでは、Androidスマートフォンに登録しているGoogleアカウントを活用します。あらかじめGoogleアカウントをおサイフケータイアプリに紐付けておけば、手続きはバックアップボタンを押すだけ。新しいスマホで残高を引き継ぐときも、ワンプッシュで残高移行ができます。

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    おサイフケータイアプリの画面下にある「カードを預ける」(機種変更)ボタンを押して、モバイルPASMOの情報を新しい機種に引き継ぐ

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    データ移行の手続きでは、Androidスマートフォンに登録しているGoogleアカウントを活用する

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    新しいスマホで預けたモバイルPASMOを「受け取る」と引き続き使える