ソフトバンクは、第5世代移動通信システム(5G)を3月27日より正式スタートすると発表しました。ライブ配信で行われた発表会では、5G対応のスマートフォン4機種、5Gを使った新サービス、5G対応の新料金プランが紹介されています。
5G時代に重要なのはネットワーク
登壇したソフトバンク代表取締役の榛葉淳氏は、プレゼンの冒頭、ソフトバンクのネットワークについて改めて説明しました。その言葉からは競合他社、とりわけ携帯通信事業に参入したばかりの楽天モバイルへの対抗心が感じ取れました。
「まず最初にお伝えしたいのは、5Gを実現するにはネットワークのインフラがしっかりしていることが重要だということ。ソフトバンクでは、既存の基地局が全国に23万局ございます。4,000、8,000のレベルではなくて、すでに現時点で23万局ある。これが今後、効率的に5G基地局として転換されていきます」(榛葉氏)
誇れるものは「基地局の数」だけではない、と榛葉氏。5Gのエリア展開のためには基地局を密に打つことも大事だとしたうえで、ソフトバンクでは電波干渉を避ける目的で3年前から「Massive MIMO技術」を導入してきたと強調します。
「世界でイチバン最初にMassive MIMOを導入して、ネットワークを実践でブラッシュアップさせてきた自負がある。このネットワークのインフラがあるからこそ5G時代が実現するんです。これに自信をもっているし、まだ満足していない。これからも増強し、増加していきます」と説明しました。
5Gではどんなサービスが出る?
ソフトバンクでは5Gサービスとして、まずはエンタメ・スポーツの体験価値を変えることからスタートします。その中心となるのが『5G LAB』。5G LABは「AR SQUARE」「VR SQUARE」「FR SQUARE」「GAME SQUARE」という4つのサービスカテゴリから構成されたもので、今後、ソフトバンクから発売される5G対応スマホには「5G LAB」の専用アプリがプリインストールされるそう。発表会では、ゲストとしてAKB48のメンバー7人が登場。実際の利用シーンを紹介していきました。
AR SQUAREでは、現実の世界に好きなアイドルやキャラクターを出現させて、実際の背景や人物と一緒に写真や動画を撮影する、それをSNSに投稿するといった利用シーンが考えられています。またVR SQUAREでは、VRゴーグルを装着することでコンテンツが立体的(3D)に楽しめます。
なお、ソフトバンクが3月27日以降に発売する5G対応スマホを購入すると、先着で4万名にVRゴーグル「pico U Lite」がプレゼントされるとのことでした。
FRはFree view point Reality(多視点)の造語。舞台やコンサート会場、スタジアムなどに設置した複数のカメラ映像を、ユーザーが任意に切り替えて楽しむことができます。
ソフトバンクでは、AKB48の57枚目シングル『失恋、ありがとう』の多視点ミュージックビデオを3月27日から独占配信。選抜メンバー18人それぞれがメインに映る18種類のミュージックビデオから、推しメンバーがアップの映像だけを見られるので、舞台上では「18通りの楽しみかたができそう」「好きなメンバーが多くて1人に絞れないというかたにもオススメです」といった感想が聞かれました。
ここで会場は、プロ野球 オープン戦の試合を直前に控えた福岡PayPayドームとライブ中継がつながり、福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩選手、甲斐拓也選手がゲスト出演しました。
球場全体が5Gエリア化される福岡PayPayドームには、スタジアムを囲むように60台のカメラを設置。ファンが手元のスマホを使って、自由な視点でプレイを楽しめるサービスを実現します。
甲斐選手は「好きなアングルで見てもらえるのがいいですね。キャッチャー目線でも見られるので、対戦するバッターの研究もできる」とコメント。そして、フルスイングを披露した松田選手は「めちゃくちゃカッコよく映りますね。ホームランを打ったとき、どの角度からもベストスイングが眺められる。小さな子どもたちにも見てほしい」と話していました。
国内バスケのライブ中継が楽しめる「バスケットLIVE」でもFR SQUAREが利用可能になります。多視点コンテンツの提供は3月27日からスタート。なお同日から、バスケットLIVEは「動画SNS放題」の対象サービスになるそうです。
ここで、プロバスケットボールB.LEAGUEのチーム「宇都宮ブレックス」の田臥勇太選手が会場を訪れ、AR SQUAREを体験するひと幕がありました。ARとして登場したのは、B.LEAGUEで最年少18歳デビューを果たした河村勇輝選手です。
田臥選手は「ドリブルしながら前を向けているので視野が広いですね。足の踏み出す角度、位置もいい。手、指先、膝の角度も細かく見えますね」と分析。そして、AR SQUAREが自分の子どもの頃にあったらもっとバスケがうまくなれたのに、と話します。
そのうえで「バスケ部がない、あっても人数が足りなくて試合できない、そうした地方に住む子どもたちもいる。でもAR SQUAREがあれば、有名なプロ選手のパフォーマンスを手元のスマホで見られますね」と紹介していました。
ソフトバンクでは、メインスポンサーを務めるJBA(日本バスケットボール協会)を今シーズンも継続してサポートするだけでなく、5Gとコラボすることで新しいサービスも開始したいと話します。
このほかGAME SQUAREでは、NVIDIAのクラウドゲーミングサービス「GeForce NOW Powered by SoftBank」(月額1,800円)の提供を6月以降から開始します。タイトル数は400以上。複雑で重たい処理をクラウドで済ませることにより、手持ちのデバイス(PC、スマホ、タブレット)のスペックによらず、場所にしばられることもなく、好きなゲームを存分に楽しめるようになりそうです。
各コンテンツは3月27日から7月31日まで無料。無料体験期間終了後は、AR SQUARE、VR SQUARE、FR SQUAREなら「5G LAB ベーシック」(月額500円)の申し込みが必要です。ソフトバンクの「動画SNS放題」対象料金サービスに加入していれば、いずれのサービスでもデータ容量がカウントフリーになります。
上記の5G LABサービスの開始に先立ち、3月5日から全国主要都市のソフトバンクショップ45店舗に「5G LAB」の体験コーナーが設置されます。気になった人は、まず店頭で体験するといいでしょう。