NHKの地デジ放送番組をスマートフォン/タブレットやPCからリアルタイムで見られる、新しいインターネット配信サービス「NHKプラス」が4月1日からスタートします。3月1日からの試行的な実施に先がけて行われた、報道関係者向けの体験会を取材しました。

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    「NHKプラス」をiPhoneアプリで体験。放送番組の常時同時配信(上)に加えて、7日間の見逃し番組視聴も楽しめます。写真は過去放送番組のリスト(下)から見たいものを選んでいるところ

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    NHKプラスのロゴとモバイルアプリのアイコンは、淡いグレーのグラデーションがデザインのポイントとのこと

NHKとEテレの番組がスマホで手軽に見られる

NHKプラスはNHK総合・NHK教育(Eテレ)の放送番組の常時同時配信と、放送終了時刻から7日間の見逃し番組配信が利用できるサービスです。iOS/Android対応のスマホ・タブレットはモバイルアプリやWebブラウザから視聴でき、PCはInternet Explorer以外のWebブラウザで見られます。

現行の放送を補完するサービスで、番組はすべて無料で視聴できますが、NHKの受信契約のほかに「NHKプラスID」の登録が必要です。利用登録は無料で、Webサイトやアプリから申し込めます。受信契約者と生計を同一にする人は追加負担なく利用可能で、後述するように、1契約あたり「最大5画面」まで同時視聴できます。なお、ホテルや病院などの事業所契約では常時同時配信・見逃し番組配信は利用できません。

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    Web画面、またはアプリからNHKプラスのID登録ができます

サービスへの申し込み受付は3月1日(日)午前0時から開始。同日午前7時からiOS/Android用の「NHKプラス」アプリのダウンロード提供が始まる予定で、アプリとブラウザによる同時配信と見逃し配信もこの時点から行われるそうです。

同時配信の映像はID登録を完了すると見られるようになります。登録の1〜3週間後に、契約住所に10ケタの「確認コード」が記載されたハガキが届き、その案内に沿って入力画面に確認コードを入力すると、本登録完了となります。利用方法の詳細などはNHKプラス公式サイトの案内を参照してください。

日本全国で利用でき、サービス開始時は南関東エリア(埼玉・千葉・東京・神奈川)を対象とした放送を全国に配信しますが、開始後の反響を見ながら全国各地域のニュースやローカル番組を地域ごとに展開する計画もあるそうです。

放送局が同時配信や見逃し番組の配信を行うためには、放送と別に出演者などからインターネット配信の許諾を得る必要があるため、NHKの放送とNHKプラスのコンテンツが完全に一致しない場合もあります。

たとえば出演者から許諾が得られていない番組は視聴そのものができず、ニュース番組などの同時配信番組の場合も、地上波の放送から約30〜40秒のディレイをかけて配信する間に映像単位で「ふたかぶせ(代わりの静止画を差し込むなどの処理)」が行われます。

NHKプラスをiPhoneで体験!必要十分な画質と快適な操作感

報道関係者向けの体験会でiOS版の「NHKプラス」アプリを試しました。アプリを立ち上げてiPhoneをタテ向きに構えると、画面上に現在の放送番組の同時配信が表示され、その下に関連番組のサムネイル付きリストが並びます。右側のドットアイコンをタップすると番組の内容・出演者・放送時間など電子番組表と同じ詳細説明が参照できます。アプリの操作感はとてもスムーズで快適に使えました。

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    NHK総合とEテレの放送番組の常時同時配信に対応。放送中の番組には赤い「LIVE」のアイコンが表示されます

常時同時配信番組は、配信中でも番組冒頭に戻って見られる「追いかけ再生」に対応します。視聴中は30秒送り/10秒戻しが行え、映像をタップしてから画面の左下に現れる三角形のアイコンをタップすると放送開始地点に戻ります。シークバーを動かして放送済みの見たいポイントにジャンプすることもできます。

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    放送中番組の追いかけ再生に対応。30秒送り/10秒戻しや、冒頭に戻る機能を備え、シークバーを使って任意のポイントに移動もできます

スマホやタブレットを横にするとサムネイル表示が消え、より大きな横画面表示になります。映像を全画面表示することも可能。画質は最大960×540ドット/1.5MbpsのSD解像度で、iPhone 8の4.7型画面で見るぶんには十分な画質と感じました。説明員によると、HD以上の画質で配信することは技術的にはできるものの通信データ容量が大きくなってしまうため、当面は利用者の声を聞きながら検討を続けていくそうです。

再生画質は4段階で切り替えられ、モバイル回線とWi-Fiの回線ごとに設定できます。最低画質は416×232ドット/192kbpsで、1時間あたりのデータ容量の目安は約0.1GBなので、モバイル通信のみで視聴する場合の負担も比較的軽く抑えられそうです。受信する端末側の回線品質に合わせて、最高から最低まで配信ビットレートを変えながら自動的に画質を最適化するアダプティブストリーミングにも対応します。

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    画質は4段階から選択可能。最高画質を選んだときの配信ビットレートは最大1.5Mbps。1時間の視聴で約0.7GBのデータが消費される計算です

設定画面では、主音声と副音声の切り替えも可能。字幕は映像の上に重ねるオーバーレイと枠外表示に対応しています。通勤中などの音を出せない場所でも、字幕とともに番組を見られます。

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    字幕表示にも対応。表示方法はオーバーレイと枠外のどちらかを選べます

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    字幕を表示しておくと、イヤホンを使わずに音なしで見られるので便利かもしれません