現在の携帯電話番号を使いつつ、データ通信だけ格安SIM相当にしたい、という意味でしょうか? 日本で販売されているiPhoneは"SIMカード2枚挿し"に対応しませんから、格安SIMのメリットを得るにはSIMカードを入れ替えねばならず、そうなると携帯電話番号を持つキャリアのSIMカードは外さざるをえません。

しかし、それは従来のiPhoneの話。2018年9月発売のiPhone XS/XS Max以降、状況は大きく変わっています。

それは、iPhone XS/XS Max以降のモデルが「eSIM(イーシム)」に対応しているからです。eSIMとは、スマートフォン本体に組み込まれたハードウェアとデータで、キャリア/MVNOとの契約情報を電子的に書き込むことで利用可能になります。現在契約しているキャリアのSIMカードを挿したまま、別のキャリアの通信回線を使えるため、実質的にSIMカード2枚挿し相当の効果が得られます。

物理的なSIM(nano-SIM)とeSIMは、かんたんな操作で切り替えられます。従来の電話番号を利用した発着信はもちろん、「@docomo.ne.jp」などのキャリアメールやSMS/MMSも継続利用できます。物理的なカードは存在しないので、利用開始まですべてオンラインで処理できることもメリットです。

ただし、いくつか注意点が。iPhoneで異なる2つのキャリアを利用する場合、SIMフリーまたはSIMロック解除された端末が必要です。同じキャリアの回線を利用すればSIMロック端末でも可能ですが、eSIMはフルMVNOのサービスとして提供されるため、(MVNOが回線として使うことが多い)NTTドコモで購入した端末もSIMロック解除しなければ使えません。2019年12月現在、eSIMを提供する日本の通信会社はIIJのみ、しかもベータ版という位置付けです。普及にはしばらく時間がかかりそうです。

  • 現在のキャリアを使いつつ格安SIMを利用できますか?

    eSIMを使えば、現在のキャリアを使いつつ格安SIMのメリットを得られますが……