川崎重工業(川重)は開催中の「2019国際ロボット展(iREX2019)」において、等身大ヒューマノイドロボット「Kaleido」(RHP:Robust Humanoid Platform)の新型(Ver.6)を初公開した。Kaleidoは、高いロバスト性が特徴の2足歩行ロボット。将来的には災害対応も目指しており、デモでは瓦礫を除去する様子が披露されていた。
これまでのヒューマノイドの弱点は、「壊れやすい」ことだった。特に等身大にもなると、転倒したらほぼ確実に壊れてしまう。故障すると修理に費用も時間もかかるので、転ばないよう配慮する必要があり、それが研究者の大きな制約になっていた。また実用化の面でも、壊れやすさは大きな課題だ。
産業用ロボットでの50年の経験を活かし、川重が初めて開発したヒューマノイドがKaleidoである。特徴は、産業用ロボット同様の壊れにくさ。中心に丈夫な骨格があり、その周囲に直動型アクチュエータを配置する筋骨格タイプを採用することで、高いロバスト性を実現した。開発には、東京大学の情報システム工学研究室(JSK)が協力している。
Kaleidoは、前回(2年前)の国際ロボット展で初披露。このときのVer.4は、まだコントローラも電源も外部に設置されていたが、今回公開された最新のVer.6では内蔵されており、スタンドアローンでの動作が可能となっている。身長は178cm、体重は85kg。衝撃吸収用の外装を樹脂製に変えるなどして、旧型と同程度の重量に抑えた。
そのほか新型では、頭部に3Dカメラ、足裏に力覚センサーも追加した。デモでは、3Dカメラで足元を認識しながら、段差を登る様子を披露。また力覚センサーを追加したことで、歩行が安定、転びにくくなっているという。
デモでは、災害救助の様子も披露された。等身大のヒューマノイドであれば、人間用に作られている設備や装備を使いやすいメリットがある。人間と同じように2本の腕を使い、人間以上のパワーで瓦礫を除去できる。このデモでは、そんなヒューマノイドの「未来」を感じることができた。
旧型も新型もアクチュエータは電動だが、将来的には、油圧化も検討している。油圧であれば、さらに壊れにくく、パワーも大きい。ブースでは、下半身だけ油圧化したバージョンのデモも行われていた。開発した油圧アクチュエータは、シリンダーやポンプなどをすべて一体化したもの。小型で電動と同じように使いやすい。
Kaleidoはオープンなプラットフォームとして、大学等の研究用途での活用が期待されている。実用化の時期については未定なものの、同社では常時要望を受付中だ。