半導体市場調査会社である台湾TrendForceのDRAM市場調査部門であるDRAMeXchangeが12月16日に発表した最新の分析によると、下落し続けていたDRAMのスポット価格が反転をしはじめ、落ち込んでいたDRAM市場全体のムードが改善しているという。

大口契約市場でメモリチップの購入企業が在庫を積み増す動きを見せており、契約価格は2020年第1四半期にも回復する兆しが見えてきた。

また、大口契約先からの製品の返品により、スポット市場に1Xnmチップのダウングレ―ド品が格安価格で流入しているとも指摘している。ダウングレード・チップは現在も返品され続けているが、メモリモジュールメーカーと流通チャネルブローカーは在庫をさらに積み増そうとしている。供給側で1Xnmチップのダウングレード品の在庫が急速に消化されるにつれて、スポット価格は上昇し始めているという。

全体的な需要と供給の状況を見ると、2019年第4四半期のDRAM市場は、それまで5四半期にわたって在庫調整を続けてきたにもかかわらず、まだわずかながら供給過剰が続いている。一般に毎年第1四半期は季節的な閑散期にあたるが、2020年第1四半期のDRAM需要は例年よりも大きくなる見込みで、供給過剰の逆転は2020年半ばより早く起こりそうである。ただし、DRAMの価格の上昇は、歴史的に、需要と供給のダイナミクスの反転よりも先行する傾向がある。その結果、TrendForceは、DRAM平均販売価格が2020年第2四半期のはじめまでに回復し始める可能性があると以前から指摘していた。

従来の価格予測を修正、2020年Q1に下げ止まりと変更

しかし、今週のスポット相場の急騰は、需要を活性化し、契約交渉に影響を与える可能性があるため、TendForceは、2020年の見通しを変更したようだ。1Xnm生産にかかわる問題は、DRAM製品全体の供給に影響を及ぼしているため、特にサーバーDRAMセグメントで価格高騰が生じている。

TrendForceは、2020年第1四半期の価格予測(改訂版)として、PC向けDRAM、特殊用途向けDRAM、およびモバイル向けDRAM製品の契約価格は前四半期比でわずかに下落するも、サーバー向けDRAM製品の契約価格が上昇する見込みであるとしている。価格の周期的な上昇はまずサーバーDRAMセグメントから生じるので、2020年第1四半期のDRAM全体の平均販売価格は2019年第4四半期とほぼ同じレベルで安定する可能性がある。

DRAM市場の回復はサーバーおよびグラフィックスから

サーバーDRAMの取引量の増加と価格下落の緩和は、サーバーメーカーがDRAM在庫の積み増しをこれまでよりも積極的に行っていることを示すものと言える。2020年第1四半期に向けて、1Xnmプロセスで製造された製品の供給不安定性、およびかなり堅調な短期需要により、サーバーDRAMの平均販売価格は回復し、前四半期比で5%増になるとTrendForceでは予想している。

また、グラフィックスDRAMの価格も供給側のGDDR5の在庫レベルが落ち着きを見せているほか、GPUメーカーがGDDR6にシフトすることによる価格上昇も見込まれるため、2020年第1四半期のグラフィックスDRAMの契約価格は前四半期比でわずかだが上昇するとTrendForceでは予想している。