半導体市場動向調査会社である台TrendForceによると、2019年8月のPC向け8GB DRAMモジュールの平均契約価格は、7月からほぼ横ばいの25.5ドルで、9月も同程度と安定した状況が続いているという。

同社の調べでは、日本政府による韓国に対する半導体材料の輸出管理強化の影響が懸念されていたこともあり7月当初はPCメーカーがリスクを抑えることを目的にメモリチップの在庫を増やそうと動いたことが、DRAMサプライヤの在庫削減に寄与したほか、Back to Schoolといった季節的な追い風、さらに12月に予定された米国の関税引き上げに対処するための最終製品の出荷が進んだことなどもあり、メモリの出荷数量が伸びたことで、価格交渉の場におけるDRAMサプライヤの発言力が強まった結果、下がり続けてきた契約価格が安定したものへと変わっていったとしている。

2020年のDRAM設備投資額は減少の見通し

同社の2020年のDRAM市場見通しによると、主要サプライヤ3社(Samsung、SK Hynix、Micron)は、収益性を確保することを目的に、設備投資の調整を行う可能性が高く、設備投資額は前年比で少なくとも10%減と減る見通しであるとする。また、それに伴い、DRAM総ビット出荷数量も前年比で12.5%増と、この10年で最低の伸びになると予測されるとしており、このような供給の伸びの抑制により、来年半ば以降のDRAM価格は上昇する可能性が高くなるとTrendForceは見ている。

TrendForceの最新の3大サプライヤの生産能力拡張計画の分析によると、増産を抑制する動きが業界のコンセンサスになっているという。トップのSamsungは平澤(ピョンテク)工場で第2ファブの建設が計画通り竣工する予定だが、同工場は2020年第2四半期まで運用を開始しない見込みだとするほか、SK Hynixも、2020年後半に新たなファブ「M16」が竣工する予定だが、同社はファウンドリサービスの需要を満たすために、旧ファブ「M10」の生産能力をDRAMから受託生産へシフトさせているため、2020年のDRAMの総生産能力そのものについては、逆に減少する見込みだという。

そしてMicronも、広島工場に新ファブ「B棟」を増設したが、1Znmのパイロットラインであり、いきなり多数のDRAMが生産されるというわけではない。同社のPC DRAMの大規模生産を担うMicron Memory Taiwanは現在、A3と呼ぶ新ファブを建設中で、こちらに1Z nm DRAMが移管されれば一気に生産能力が増加すると見られるが、それにはまだ時間がかかると見られている。

攻めの姿勢を見せる中国のDRAM生産量は世界の3%

猛烈な勢いでDRAMの生産を進めようとしている中国勢だが、それでも2020年のDRAM生産に向けたウェハの投入枚数は、全世界でDRAM生産に投入される総量の3%未満に過ぎないとTrendForceでは見ており、彼らがDRAM市場にどのような影響をもたらすのかについては、もう少しその動向を観察する必要があるとしている。

中国の主要なDRAMメーカーであるCXMTとJHICCのうち、CXMTはすでに小規模生産を開始し、DDR4 8Gビットチップの提供を開始しているほか、2020年前半にも独自技術に基づくLPDDR4 8Gビットの量産を開始する計画だが、月産10万枚以上の規模に達するのは2021年以降になるとみられる。一方のJHICCは、米国政府による輸出規制のため、生産ラインに対する米国の製造装置メーカーによるサポートが一切得られない状況にあり、自社内で生産ラインの装置の立ち上げとパラメーター設定の最適化を図ろうとしていることもあり、2020年末までには生産を開始できたとしても、初期の生産規模は月産1万枚以下にとどまるとTrendForceは見ている。

TrendForceでは、中国勢がDRAM製造をさらに発展させるためには、製造歩留まりの向上、主要製造装置の入手と設置・立ち上げ、海外企業とのIP関連問題への対処など多くの課題を克服する必要があるとしており、グローバルのDRAM市場の需給バランスに顕著な影響を与えるようになるのかについては、もう少し観察を続ける必要があるとしている。