地下鉄にも乗ってみました。深セン地下鉄には「深セン通」という非接触型ICカードがあり、駅に設置された自販機で買ったりチャージしたりできるのですが、これもQRコードで購入できます。飲食店やコンビニといった民間の店舗は、アリペイとWeChat Payの二択でしたが、公共交通機関だからか現金払に対応するうえ、龍支付(中国建設銀行のサービス)やQQ銭包(中国で高い普及率を持つチャットサービス)といった他のQRコードにも対応していました。

  • 深センの地下鉄路線図。端から端まで移動するのに1時間数十分はかかります

  • 地下鉄の券売機。誰も利用していません

一方、1回きりの切符(コイン状のトークン)を買う券売機は、アリペイとWeChat Payと深セン通の3種に対応。現金も使えますが、飲食店が前述した状況ですから、利用者はほとんどいないと思われます。そもそも、当地の人は皆「深セン通」を持っているのか、そもそも券売機に並ぶ人がいません。今回の出張では6回地下鉄を利用しましたが、私以外に自販機/券売機を利用している人を見かけませんでした。

  • 市民の多くが「深セン通」を利用しています

  • 非接触型ICカード「深セン通」の販売機。ようやくアリペイ・WeChat Pay以外の方式を見かけました

タクシーは「DiDi」が普及しています。日本にも進出済ですから詳細の説明は避けますが、ざっくりいうと「呼べば現在位置に配車してくれるアプリ」。こちらもQRコード決済で、現金の授受は必要ありません。しかし、人気の理由は他にあるようで、同行してくれた通訳のQさんによれば「誰のクルマか履歴が残るし明朗会計で安心」だから支持されているとのこと。なるほど、うなずけます。

  • オフィスビル併設の駐車場。料金はQRコードで決済します

駐車場料金の支払いもQRコード。送迎のクルマがオフィスビルに併設された駐車場を出る様子を観察していたところ、柱に掲示されているQRコードをアプリで読み取り支払いしていました。ここでも、決済手段としての現金は完全に無視されています。

  • いまのところ、高速道路料金はQRコード決済が主流のようです

高速道路の料金も、基本はQRコード決済です。ゲート横のボックス(有人)にある読み取り装置にアプリのQRコードを読み取らせるのですが、クルマから手を伸ばす形になるのでなかなかうまくいかないことも。日本のETCのほうが格段にスピーディです。もっとも、通訳のQさんいわく、ナンバープレートの自動スキャンで高速料金の支払いを行うシステムも導入され始めているのだそう。すべてをQRコード決済で解決しようとしているわけではないようです。