おいしい食事を撮影したり、友人と自撮りしたり、私たちが日常的に写真を撮るようになったのは、スマホのおかげです。スマホの中にはステキな思い出がたくさん詰まっていますが、そのまま閉じ込めておくのはもったいない! スマホの写真を気軽にプリントできるプリンターがあれば、写真をコラージュしてフォトボードを作るなど、思い出ともっと寄り添うことができますよね。

そこで、スマホの写真をプリントできる「フォトプリンター」をご紹介したいと思います。フォトプリンターはスマホとワイヤレスで接続すると、スマホの写真を簡単にプリントできる機器です。どれも充電式のバッテリーで動くので、電源がない外出先でも使えます。最近のフォトプリンターのトレンドは、なんとカメラ付き! フォトプリンターで撮影した写真をその場でプリントし、すぐに友だちに配ることができます。

カメラ付きフォトプリンターは各社から続々と登場しています。今回は、特に人気の高い製品として、キヤノンの「iNSPiC ZV-123」、富士フイルムの「instax mini LiPlay」、ケンコー・トキナーの「コダック インスタントカメラプリンターC210」をレビューしたいと思います。それぞれ、本体デザインや写真のプリント形式などが個性豊かなので、ぜひ好みに合うものを探してみてくださいね。

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シール用紙が人気「iNSPiC ZV-123」

まずはじめは、レンズの周囲にある大きなミラーが特徴的なキヤノンの「iNSPiC ZV-123」からご紹介します。実売価格は税込み1万6000円前後(ポイント10%)です。

iNSPiC ZV-123は、レンズの周囲にLEDライト付きの自撮り用ミラーを搭載しており、自撮りのときに自分の表情を確認しながら撮影できます。本体には「再プリント」ボタンがあり、これを押せば同じ写真をもう1枚プリントできます。友人と出かけた先で、ZV-123を取り出して自撮りし、「再プリント」ボタンで友人にあげる、といった使い方ができるのです。

  • 前面の丸いミラーが特徴的な「iNSPiC ZV-123」。フラッシュを付けると、ミラーの周囲にあるライトが点灯します

  • 背面には液晶パネルがないため、ファインダーを見て撮影します。右上には「再プリント」ボタンがあります

  • 上部には状態表示ランプ、フラッシュのオン/オフボタン、電源、シャッターボタンがあります

プリント用紙は、用紙にインクが埋め込まれている「Zero Ink technology」という技術を用いた特殊な用紙を使用します。この用紙は背面がシールになっていて、ノートや色紙などに簡単に貼り付けられるのがポイントです。

  • 用紙は、背面のカバーを開けてセットします

スマホ用アプリは「Canon Mini Print」を使用します。アプリでは、スマホに保存している画像のプリントや画像の加工が可能。メッセージ、スタンプ、コラージュ、フィルターやフレームなどの加工をスマホで行い、ワイヤレスでフォトプリンターに接続してプリントできます。

  • スマホに保存している画像をアプリで読み込めばプリントできます

声を写真に記録できる「instax mini LiPlay」

2つめは、インスタントカメラ「チェキ」で一世を風靡した富士フイルムの「instax mini LiPlay」(リプレイ)。実売価格は税込み1万7000円前後(ポイント10%)です。

LiPlayは、本体の背面に大きめのディスプレイが付いており、撮影した画像のなかからプリントしたいものだけを選んでプリントしたり、本体だけでスタンプやフレームなどの加工ができるのが特徴です。ほかの2機種が横長のプリントをイメージしているのに対し、チェキらしく縦長写真が基準になっていることもポイントですね。

  • instax mini LiPlayは、前面にシャッターボタンと音声録音ボタンがあります

  • 背面には大きめのディスプレイを装備。写真を選んでプリントしたり、加工したりできます

フレームは、カメラ本体に10種類、アプリから30種類を選ぶことができます。フィルターは全6種類を用意。フレームは撮影時と撮影後に、フィルターは撮影時に加工することができます。

  • 横にある3つのボタンに好きなフレームを登録しておけば、簡単に加工できます

LiPlayならではのユニークな機能が、音声を写真に組み込めること。音声を録音するとスマホ経由でクラウドサーバーに保存され、アクセスするためのQRコードが写真にプリントされる仕組みです。最大録音時間は10秒で、音声付き画像の保存期間は1年間です。音声メッセージ付きで友人に写真をプレゼントできるのは、とても魅力的だと感じます。

  • スマホでQRコードを読み込めば、ブラウザーが開いて音声が再生されます

プリント形式は、プリントしてから画像が現像液で浮かび上がってくる「銀塩」プリントです。紙が排出されたばかりの時点では真っ白い用紙にじわじわと写真が現れる様子は、チェキならではの味といえます。現像剤が入っていた余白の部分にコメントを書くのもよし、余白にかわいいデザインがプリントされている用紙を使うもよし、ちょっとした遊び心を楽しめます。

  • プリント用紙はカートリッジを差し込みます

アプリは「instax mini LiPlay」を使用します。アプリからは、スマホに保存している画像のプリントや音付きの画像の再生、遠隔シャッター、ショートカットの管理が可能です。

  • アプリでスマホの写真を選択したところ。加工は本体で行います

まさかの熱転写方式「コダック C210」

3つめは、コダックらしいイエローカラーも選べる「インスタントカメラプリンターC210」。実売価格は税込み1万5000円前後(ポイント10%)です。

C210の特徴は、3色のインクを重ね合わせてプリントする「4PASSテクノロジー(昇華型熱転写技術)」のため、とても色鮮やかなプリントができること。プリント時には、イエロー、マゼンタ、シアン、そして表面を保護するオーバーコートと、用紙が本体を4回も行き来して色を重ねながらプリントを行います。その様子を見ながら完成を待つのも、かわいらしくて楽しいですよ。写真は水に濡れても大丈夫なので、長期保存にも向いています。

  • C210はコダックらしいイエローとホワイトの2種類があります

  • 背面にはディスプレイと操作ボタンがあり、余白の選択やフラッシュのオン/オフができます

  • プリント用紙とインクリボンはカートリッジを差し込むだけでセットできます

用紙は、通常のタイプとシールタイプが販売されています。本体で縁の幅を指定すれば、余白にメッセージなどを書き込むことができます。

  • プリントしている様子。どんどん色を重ねてプリントしていく様子は、新鮮に感じる人も多いでしょう

アプリは「Kodak Instant Printer」を使用します。アプリからは、スマホに保存している画像のプリント、フレームやスタンプによるデコレーション、フィルター加工、明るさなどの調整が可能です。

  • アプリでスマホの写真を選択したところ。スタンプや文字入れができます

ここまで、各製品の特徴や基本的な機能をご紹介しました。後編では、実際のプリントの比較や使い勝手をお伝えします。

鈴木朋子さん

著者プロフィール
鈴木朋子

ITライター・スマホ安全アドバイザー。SNSやスマホなど、身近なITに関する記事を執筆。10代のスマホカルチャーに詳しく、女子高生とプリクラにも出かける。趣味はへんてこかわいいiPhoneケース集め。著書は「親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)など20冊を超える。