UACJとUACJ製箔、SAPジャパン、ドクターズは11月15日、開封検知付アルミ箔を使用した服薬管理システムの共同研究を行い、実証試験を開始すると発表した。4社は共同で2022年までに同システムの実用化に向けて開発を進め、服薬管理により患者の健康促進に貢献するシステムの構築を目指す。

  • 想定シナリオ

    想定シナリオ

近年、国内の訪問医療増加や在宅医療利用者数の増大による医療費の増加が問題とされていることに加え、残薬の増加も医療費の増加に拍車をかけているという。今回、UACJは処方されている薬を過不足なく服薬してもらうために開封の有無を管理できる包装材を開発し、4社にてシステム開発を行うことにした。

開封検知付きアルミ箔は、医薬品包装用アルミ加工箔を基に絶縁層と回路を印刷技術で付与することで開発。開封検知付きアルミ箔を使用した服薬管理システムは錠剤の処方に使用され、患者が医薬品を開封した際、回路印刷箔が錠剤の包装材の破断を検知し、スマートフォンなどの通信機器で家族や医師に通知、遠方でも服薬状況の管理を可能としている。これにより、患者の薬の飲みすぎや飲み残しを防ぎ、患者の健康維持を図ることができるという。

  • 開封検知箔使用イメージ

    開封検知箔使用イメージ。医薬品包装材料に印刷技術を用いた電気回路を形成したシール状箔。既存PTP(Press Through Pack)包装へ貼り、専用デバイスから通信する

  • 回路印刷箔試作品の外観写真

    回路印刷箔試作品の外観写真

各社の役割として、UACJおよびUACJ製箔は開封検知付アルミ箔の開発・製造を行い、SAPジャパンはデータ収集・解析を行うシステムに開発環境の「SAP Cloud Platform」および分析ソフトの「SAP Cloud Analytics」、ユーザーからのフィードバックを取得するソフトウェア「SAP Qualtrics」を提供する。

また、ドクターズは独自ガイドラインによる現在約400人のエキスパート医師チームと、デジタルプラットフォーム活用支援を融合した「Doctors Cloud」サービスを提供し、実証試験プロトコールの立案と運営、医療従事者の意見の集約化とフィードバックを行う。