スタンダード機とは思えない「A105」の高音質さ

新しいウォークマンの音質はゼンハイザーのイヤホン「IE 800 S」(実売約12万円)をリファレンスにして、W.ミュージックアプリでハイレゾの楽曲ファイルと、Spotifyの音楽ストリーミングを聴いて確かめてみました。

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    「NW-A105」にゼンハイザーのイヤホン「IE 800 S」を組み合わせたところ

最初は「NW-A105」によるハイレゾ再生から聴いてみます。A100シリーズはウォークマンAシリーズで初めて、アップスケーリング機能やイコライザーなどすべての音質設定を無効にして、楽曲を生の状態で楽しめる「ソースダイレクト」機能が搭載されました。ハイレゾ再生をピュアに楽しみたいときにおすすめです。

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    ウォークマンAシリーズで初めて「ソースダイレクト」機能に対応。音源そのままのクオリティを引き出します

A100シリーズの音は、A50シリーズよりも低音の重心が下がり、音楽の立体感が向上しています。ボーカルやピアノなどメロディの鳴りっぷりがとても心地よく感じられました。マイケル・ジャクソンの楽曲『Off The Wall』はボーカルのハイトーンがとても伸びやかで、余韻の響きは濃厚なのに切れ味は爽やか。上原ひろみのピアノアルバム「Spectrum」から、タイトル曲の『Spectrum』は躍動感あふれるメロディが疾走します。

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    A100シリーズの標準プレーヤー「W.ミュージック」アプリで、カセットテープをイメージした再生画面(スクリーンセーバー)を表示したところ。楽曲のタイトルとアーティスト名がインデックスに表示されます

続いてSpotifyを聴きます。再生を始める前に本体の「音」設定から「音質調整」に入り、ソースダイレクトをオフにして、圧縮音源やCD品質の音源を最大192kHz/32bit相当のハイレゾ相当にアップスケーリングする「DSEE HX」をオン、Spotifyアプリの設定で「ストリーミング」の音質設定を「最高音質」にしました。

柴田淳のアルバム「COVER 70's」から『スカイレストラン』を聴いてみます。シルキータッチな声のきめ細かさは、スマホで聴く場合と比べものにならないほどで、ボーカリストの口元の繊細な表情がリアルに浮かび上がって目に見えるようです。力強い低音のインパクトに耳を刺激されて、音楽を聴きながら思わず「さすがウォークマン!」と歓声をあげたくなりました。

A100シリーズには、既存のA50シリーズに引き続き、AI技術を投入した新しいDSEE HXが搭載されています。このDSEE HXは、ソニーミュージックが蓄積してきた膨大な楽曲データベースを土台に“AI化”されました。楽曲の再生を始めると、機械学習によって作成されたアップスケーリングのアルゴリズムのデータベースと自動的にマッチング処理をかけて、その楽曲に最も適したアップスケーリング処理をかけてくれます。

従来のDSEE HXは、高域の補完処理を固定パターンとしてアップスケーリングをかけていましたが、最新のDSEE HXは楽曲に含まれるボーカルや楽器の構成をリアルタイムに解析しながら、曲調や楽器の音色に最適なアップスケーリング処理をかけるように強化されています。

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    圧縮音源や音楽配信サービスのコンテンツを再生するときは、DSEE HXをオンにすると、曲調や楽器の音色に最適なアップスケーリング処理が行われます

DSEE HXをオンにすると、音場の見晴らしが一段と晴れやかになり、ボーカルと楽器の前後の位置関係や、奥行き方向への音場の描き込みに深みを与える情報量がグンと増してきます。声の質感がしっとりとした潤いを帯びてきて、音楽がより生っぽくつながるように感じられます。お気に入りの楽曲を聴きながらDSEE HXのオン/オフを切り替えてみると効果の違いがよくわかります。ぜひ試してみてください。

ウォークマンAシリーズは、中高域の解像感ときめ細かな表現力において、同価格帯のハイレゾプレーヤーを寄せ付けないハイパフォーマンスを誇っています。最新機種のA100シリーズでは、さらにバランス良く様々なジャンルの音楽再生をこなせるようになり、もはやその音の出来映えは他を圧倒する領域にまで到達していました。