米IC Insightsが4月10日(米国時間)に発表した2018年の非IC系の半導体企業売上高ランキングトップ10によると、トップにソニー、2位にシャープ、そして7位には日亜化学工業が入っており、IC分野とは対照的に、非IC分野では日本勢の健闘が目立つ結果となった。また、2017年の同ランキングにて10位に入っていたルネサス エレクトロニクスは12位に後退し、トップ10外となった。
IC Insightsが規定している非IC系の半導体とは、世界半導体市場統計(WSTS)の分類に従い、オプトエレクトロニクス・デバイス、センサおよびアクチュエータ、ディスクリート(個別)半導体(以下、O-S-Dと略記)を指しており、経済産業省の半導体生産動態統計の分類とは異なっていることに注意が必要である。WSTSの分類では、伝統的に、CMOSイメージセンサやCCDなどの撮像素子は、その集積度にかかわらずオプトエレクトロ二クスに分類され、センサはMCUなどの周辺回路を内蔵していてもセンサ・アクチュエータに分類されている。
トップ10社のうち、9社がオプトエレクトロニクスデバイスを、6社がセンサ・アクチュエータを、5社がディスクリート半導体を扱っている企業で(重複有り)、O-S-Dの3分野すべてをカバーしているのは、シャープ、ON Semiconductor、STMicroelectronics、Broadcomの4社だけである。
2018年のO-S-Dサプライヤトップ10社の売上高合計は世界のO-S-D市場全体の39%をカバーしており、この割合は2017年から変化していない。IC市場におけるトップ10社の売上高合計は、全体の7割を占め、寡占化が進んでいることを踏まえると、対照的といえる。この理由としては、O-S-D市場はIC市場に比べ比較的規模の小さな企業(あるいは企業内事業体)がはるかに多いためであるものと考えられる。
地域別では、トップ10社中3社は日本企業であり、3社が欧州、2社が米国、2社がアジア(韓国と中国)税である。「日本は、IC産業が衰退しているにもかかわらず、伝統的にオプトエレクトロニクスとディアスクリート半導体分野に強い。しかし、多くの日本企業はコモディティ化したディスクリート半導体製造から撤退し、コスト競争上、外部委託している。さらに、いくつかの日本企業は、CMOSイメージセンサや急成長のセンサ・アクチュエータに注力している」とIC Insightsは指摘している。
2018年のランキングトップ10は、2017年のそれと比べて、1位から4位までは変化がないものの、5位に2017年7位のSTMicroelectronicsが入り、代わりに2017年に5位だった日亜が7位へと後退。10位に前年13位だったOmniVisionが入るという動きがあった。
CMOSイメージセンサの世界最大サプライヤであるソニー(半導体事業は100%子会社のソニーセミコンダクタソリューションズが担当)の2018年の売上高は約71億ドルと、2位のシャープに比べて約31億ドルほど多いダントツトップの状態となっている。ただし、成長率は2017年に前年比19%と大きく伸びたこと、ならびに成熟したスマートフォン市場におけるCMOSイメージセンサの需要低迷および光記憶ディスクドライブ用のレーザーピックアップデバイスの出荷台数の減少により3%に留まっている。また、2位のシャープの半導体事業は、2019年4月付けでシャープ福山セミコンダクターとシャープ福山レーザーの2社に分社化している。
O-S-Dサプライヤのトップ10社のうち6社が前年比2桁の売上増を達成したが、中でも5位のSTMicroelectronicsは同25%増と頭1つ抜け出る成長率を見せた。同社のO-S-D売り上げ増加分の約半分はディスクリート半導体によるもので、2018年にはパワーディスクリート半導体の売り上げは27%増の13億ドルに達した。このように大きく伸びたのは、パワートランジスタ、パワーダイオードなど市場で不足していたデバイスの販売価格が上昇したことによるところが大きい。STMicroelectronicsのO-S-D売上増の残りの半分は、オプトエレクトロニクスの売り上げによるもので、イメージセンサおよび光センサの売り上げは同48%増の9億300万ドルに達したという。
また、10位のOmniVisionは、売上高が前年比10%増の16億ドルとなり、トップ10へと駆けのぼった。同社は米国シリコンバレーのファブレス企業で、世界3位のCMOSイメージセンササプライヤであるが、2016年に中国の投資家グループによって買収されている。
なお、かつての予測では2010年代後半には、もっと多くの中国系オプトエレクトロニクスおよびディスクリートサプライヤがトップ10に入ってくるとされていた。しかし、大規模なO-S-Dサプライヤ間の買収や合併により、中国勢のランキング入りは数年間遅れる可能性がでてきているとIC Insightsでは指摘している。