NTTデータは3月15日、三井不動産の協力のもとデジタルデバイスやAI技術を活用し、消費者に商品を提案・訴求・販売するデジタルストアの実証実験を同8日から開始したと発表した。なお、協力企業はアイリッジ、DGマーケティングデザイン、フォーデジット、ピーディーシー、UsideU。

実証実験は、3月31日まで行い、三井不動産が開発・運営を手がける「三井ショッピングパークららぽーと海老名」の一角に、販売員が常駐せずにインタラクティブサイネージで接客を行うデジタルストアを設営する。サイネージ前に取り付けたカメラから、AIが消費者の性別・年齢層を推定し、相手に応じた商品提案を行い、その提案によって消費者の購買行動に変化があるかを検証。

  • 店頭写真

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具体的には「顔認識AIを使ったレコメンド効果の検証」「アバターによる遠隔接客の検証(3月20日~)」「ECサイトへの誘導におけるユーザーエクスペリエンスの検証」「来場フロアの行動導線、および商品接触・サイネージ接触数の分析」の4項目を検証する。

  • 実証実験イメージ

    実証実験イメージ

顔認識AIを使ったレコメンド効果の検証では、デジタルデバイス(インタラクティブサイネージとデジタルカメラ)とAI技術を活用し、販売員が不在の店舗においても消費者に商品を提案・訴求・販売ができるかを検証し、店舗ではデジタルカメラで来店した消費者の性別・年齢層を推定し、相手に応じた商品を提案することで、初めて来店した消費者に対しても効果的な商品の提案ができるという。

アバターによる遠隔接客の検証に関しては、アバターを介して販売員が遠隔地から店舗への呼び込みや店舗内の消費者に対して接客を行い、対話を通じた商品説明に対応できる仕組みを提供する。AIにより、オペレーターの顔の動きや仕種を認識した上でアバターと自然な動きで連動し、遠隔からの声かけでも購入の後押しとなるかを検証するとともに、アバター遠隔接客を活用した店舗運用課題を確認する。

ECサイトへの誘導におけるユーザーエクスペリエンスの検証については、デジタルサイネージ上の各商品ページにQRコードを掲載することで、スマートフォンを通じて消費者を三井不動産のECサイト「&mall(アンドモール)」に誘導し、商品の購入につなげる。これにより、リアル店舗にあるQRコードからのECサイトへの誘導が決済手段として有効か、購入が完了するかを検証。

来場フロアの行動導線、および商品接触・サイネージ接触数の分析では、来場フロアに設置されたデジタルカメラにより来店した消費者の行動導線を可視化し、来場、商品接触、サイネージ接触、アバター対話接触、デジタルコンテンツ接触の度合を可視化し、店舗・販売員の販売活動におけるデジタル化への改善要因を分析する。

実証実験の成果から同社の決済ソリューション「CAFIS」との連携など、さらなる機能拡充を行い、販売活動だけではなく、店舗運営全体のリアルとデジタルのシームレスな融合を実現すべく、EC、マーケティング、決済を掛け合わせたデジタルストアソリューションの構築を目指す。