LGエレクトロニクスが「MWC19 Barcelona」の開幕前日(2月24日)に開催したプレスイベントで、2つの新スマホを発表しました。本稿ではスマホに触れないでジェスチャー操作できるなど、ユニークな機能満載な「LG G8 ThinQ(以下G8 ThinQ)」を紹介します。

  • LGエレクトロニクスの2019年最新ハイエンドスマホ「LG G8 ThinQ」

アウトカメラは3眼、堂々のフラッグシップ仕様

LG Gシリーズは、ここ最近だと日本で発売されていませんが、グローバルだとVシリーズと肩を並べるLGのハイエンドモデルです。G8 ThinQと同日に発表された2枚看板のスマートフォン「LG V50 ThinQ 5G」と同じく、SoCにはクアルコムのSnapdragon 855 Mobile Platformを採用していますが、G8 ThinQについては5G対応のアナウンスが今のところなく、スペックシートにも5G対応モデムに関する記載がありませんでした。

ディスプレイは約6.1インチのOLED。解像度はQHD+(3,120×1,440ドット)、アスペクト比は19.5対9で、画素密度は564ppi。ディスプレイ上部には、フロントカメラとセンサー部分のノッチ(切り欠き)があります。

手に持ってみると、V50 ThinQ 5Gよりコンパクトであることが実感できます。本体の厚みはV50 ThinQ 5Gとほぼ変わらない8.4mm。質量はG8 ThinQのほうが軽い167g(V50 ThinQ 5Gは183g)。

  • 本体の厚さは約8.4mm。アナログイヤホン端子も完備

  • 向かって右側にあるのがスピーカーの開口部です

カメラはリア側がメインで、トリプルレンズを搭載。3つのレンズはそれぞれ焦点距離と画角が異なり、16MP/F1.9/107度の広角レンズ、12MP/F1.5/78度の標準レンズ、12MP/F2.4/45度のズームレンズという構成です。

  • 背面にトリプルレンズカメラや指紋認証センサーを搭載

1度のシャッター操作で順番に3つのカメラで撮影する「トリプルショット」や、フロント側のデュアルレンズカメラまで含めて、一気に5枚のショットを撮る「ペンタショット」などを利用可能(これらの機能はV50 ThinQ 5Gも搭載しています)。

  • トリプルカメラを活かして、1度のシャッター操作で3枚の写真を連続して撮れる「Triple shot」

  • Triple shotでは、被写体にズームした写真や、背景を捉えた写真を同時に記録します

  • 動画は4K/60p撮影まで対応します

  • メインカメラは動画撮影時にも、背景のボケ味をコントロール可能

OSはAndroid 9.0 Pie。メインメモリは6GB、ストレージは128GB。外付け記憶媒体として、microSDカードを採用しました。堂々のフラッグシップ仕様ですね。

製品名に付いている「ThinQ」は、LGエレクトロニクスが独自に開発するAIアシスタントの名称で、グローバルではテレビやスマート家電、ホームロボットなど、多数の製品に採用されています。スマホだとAIカメラのような、本体に内蔵するディープニューラルネットワークを活かした画像処理エンジンと連携したり、ホームネットワークだと、スマート家電を操作するときの司令塔としての役割を担っていたりもします。

バッテリー容量は3,500mAh。クアルコムの高速充電技術「Quick Chagre 3.0」をサポートしています。カラバリには、光沢仕上げのカーマインレッド/ニューオーロラブラック/ニューマロカンブルーの3色を用意しました。

ジェスチャー操作でスマホのUI革命を

プレスカンファレンスでG8 ThinQのプレゼンテーションを担当したのは、LG Electronics Europeのモバイルコミュニケーションズ部門でプロダクトエバンジェリストを担当するデビッド・モンターニャ氏。彼が掲げたのは、G8 ThinQによる「スマホのユーザーインタフェース(UI)革命」でした。

G8 ThinQは、ドイツの半導体メーカーであるインフィニオンが開発した3D画像認識センサー「REAL3」を内蔵しました。リア側のカメラで、被写体の深度情報が256段階と細かく検知できるのが特徴です。

フロント側のインカメラは、「Z Camera」と名付けられています。Z Cameraはたとえば、とてもセキュアな顔認識センサーとして活かすこともできますし、セルフィ撮影でナチュラルなボケ味を加えることも可能です。

  • Z Cameraは人物の顔の凹凸を正確に検知できるので、よりセキュアな生体認証が可能となっています

  • ポートレートのボケ味はさらにナチュラルになります

生体認証機能としては、背面の指紋認証センサーのほか、フロントカメラを使った顔認証、虹彩認証に加えて、もうひとつ手のひらの静脈認証「Hand ID」に対応しました。

  • Z Cameraは静脈認証に対応

  • 「Hand ID」という機能が追加されています

最大のハイライトは、Z Cameraを活用した新UIである「Air Motion」です。スマホのフロントフェイスに手をかざすと、瞬時にAir Motionが起動して、画面の上部に虹色のゲージがでてきます。つぎに円形の窓のようなアイコンが出現し、かざした手のひらを左右にスワイプしたり、ゲンコツを作るように指先を丸めたりといったジェスチャーに連動して、音楽プレーヤーやカメラなどのアプリ操作が行えます。

  • スマホに触れないで操作できる「Air Motion」。画期的なUIでした

ハンドジェスチャーを行うときは、スマホのカメラと手のひらを10cm~15cmほど離します。かつてドコモの一部スマホでも、画面を触らず操作できる「ホバー」機能を搭載していましたが、あれよりも画面から遠くに手を離せるし、上下左右だけでなく回転・奥行き方向への立体的なジェスチャーを認識できるのがポイントです。

  • フロントカメラから10cm~15cmも離れているハンドジェスチャーを、奥行き方向も含めて立体的に認識します

ブースに展示された実機で体験してみましたが、操作に対するレスポンスが期待以上に機敏でした。純正音楽プレーヤーアプリの「ミュージック」と連動し、ボリュームノブをひねるような動作で音楽再生の音量を変えられる操作がとてもクールだと思います。ハンドパワーがきている感じがしました。

本体はIP68相当のしっかりとした防塵・防水設計。ですがAir Motionを利用すれば、キッチンで洗い物や料理をしているときに、べたべたの手でスマホを触らなくてもよくなるはず。コレさえあれば筆者も、最近遠ざかっていた台所にカムバックを果たせそうです。

  • 通話への応答、音楽・動画の再生、画面のキャプチャー、カメラのシャッター操作などがAir Motionで行えます

  • カメラの前でボリュームノブを回すようなジェスチャー操作で音量を調整。独自のUIが画面に表示されます

画面全体から音が鳴る?

G8 ThinQでもう一つの個性が、画面全体を鳴らすスピーカーこと、「Crystal Sound OLED Stereo Speaker」です。本校執筆時点では、技術の詳細を確認できていないのですが、おそらく日本で発売されているソニーの4K有機ELテレビ「ブラビア」が搭載する、画面自体を振動させて音を出す「アコースティックサーフェス」と同じように、内蔵する振動素子(アクチュエーター)を使って画面から音が出るようなリスニング感をつくり出しているのではないかと思います。本体側面のフレームにもスピーカーユニットを備えているので、ディスプレイ側の「Crystal Sound OLED Stereo Speaker」とは周波数帯域を分けているのかもしれません。

  • 有機ELディスプレイを振動させ、スピーカーとして利用できる「Crystal Sound OLED Stereo Speaker」は本機ならではの新機能

DTS:Xの立体音響技術もサポートするので、スマホ内蔵スピーカーだけで迫力ある動画・音楽試聴を楽しめるのも特徴です。実際に試してみると、アクチュエーターはパネル側だけでなく本体のフレームも振動させるように配置されているのか、手に持つとコンテンツの音声に合わせてスマホ全体が力強く振動します。映像への没入感を高めてくれるともいえそうですが、ずっと手でホールドし続けているのはつらいかもしれません。

スマホをテーブルなど平らな場所に置くと、音を増幅させる「Boombox」機能を搭載していることと関連しているのかもしれません。Boombox機能だけをオフにできる機能があればベターです(プレスイベントの時間内では設定できるのか確認がとれなかったので、MWCに出展するLGのブースで調査してみたいと思います)。

  • スマホを平らなところに置いて、アクチュエーターを使って音を鳴らす「Boombox」機能もあります

なおG8 ThinQも、高音質サウンドを実現する「Quad DAC回路」を内蔵。イギリスのHiFiオーディオブランドであるMERIDIANがチューニングを担当しています。そして3.5mmのアナログイヤホン端子も完備。ありがとうございます。日本でもぜひ、V50 ThinQとツートップで発売されて欲しいものです。

  • LGのフラグシップスマホの名に恥じず、Quad DACやDTS:X対応などオーディオ性能も充実しています