LGエレクトロニクスが世界最大の携帯通信関連の展示会「MWC19 Barcelona」の開幕前日にプレスイベントを開催し、最新のスマホを2機種同時に発表しました。本稿では5G対応や専用アダプターによる2画面エンターテインメントを実現する「LG V50 ThinQ 5G」を中心に紹介します。

  • LGエレクトロニクスが発表した同社初の5G対応スマホ「LG V50 ThinQ 5G」

イベントのステージにはLG Electronics USAのモバイルコミュニケーションズ部門ディレクターのFrank Lee氏が上り、LG V50 ThinQ 5Gのプレゼンテーションを行いました。

5Gの次世代高速通信サービスは2019年に世界の各地域で順次商用化の開始が予定されています。既に韓国、北米では一部のキャリアが5Gのサービスを導入していますが、オーストラリアやイギリス、欧州の通信事業者も後を追う形で準備を進めています。

  • LG エレクトロニクス

    新製品を誇らしげに掲げるLG Electronics USAのFrank Lee氏

  • 米SprintのCEO,Michel Combes氏もゲストスピーカーとして登壇。LGとSprint、クアルコムが手を取り合いながら5G対応のスマホ体験をいち早く実現すると意気込みを語った

LG V50 ThinQ 5Gはこれら先進地域の5Gサービスの導入に足並みを揃える形で今年の前半に発売を予定する端末です。

Lee氏は「北米、韓国、オーストラリアのほか欧州の数カ国」と述べていましたが、プレゼンテーションには米Sprint、Verizonのほか、ボーダフォン、イタリアのTIM、スイスコム、イギリスのEE、オーストラリアのテルストラのほか、韓国のKT、SKテレコム、LG U+がパートナーとして紹介されていました。日本では発売されるのか、だとすればどのような形で登場するのか気になる端末です。

LG V50 ThinQ 5Gハンズオン! 特徴は?

さて、それでは会場に展示されていたLG V50 ThinQ 5Gの特徴をハンズオンレポートを交えながら紹介していきたいと思います。

  • 約6.4インチのOLEDをディスプレイに採用した「LG V50 ThinQ 5G」

ディスプレイは約6.4インチのOLED。解像度はQHD+(3120×1440)、画素密度は538ppi。アスペクト比19.5対9の面長サイズで、上部にデュアルフロントカメラユニットを配置するノッチ(切り欠き)があります。

  • ディスプレイの上部にノッチを設け、2つのフロントカメラを載せた

背面のメインカメラはトリプルレンズ仕様で、それぞれに焦点距離と画角が異なっています。107度の広角側が16MP/F1.9、78度の標準レンズは12MP/F1.5、45度の望遠側が12MP/F2.4。

  • トリプルレンズカメラは焦点距離と明るさ、画角の異なるレンズを連携させるユニット構成とした

SoCにはクアルコムのSnapdragon 855 Mobile Platformを採用するほか、5G対応のモデムIC X50も組み合わせています。モバイルネットワーク通信は5G/4G/3Gをサポート。

メインメモリは6GB、ストレージは128GB。外付け記憶媒体としてmicroSDカードも使えます。OSはAndroid 9.0 Pie。

  • V50 ThinQ 5G

    背面に指紋認証センサーを搭載する

本体は厚みが8.3mm、重さは183g。手に持つと大画面のゆったりとしたサイズ感が実感できます。カラバリはアストロブラックの1色。IP68相当の防水仕様で、背面に指紋認証センサーが載っています。AIアシスタントはGoogleアシスタントのほか、LG独自のThinQ AIに対応したことにより、LGのThinQ対応スマート家電の音声・アプリによる操作が行えます。

  • V50 ThinQ 5G

    本体のサイズは厚みが8.3mm。片手持ちによる操作も違和感を感じなかった

大型サイズの有機ELディスプレイは発色が素直で、有機ELらしいコントラスト感の精細さも楽しむことができます。HDR10対応、SDR画質の映像をHDR相当にエンハンス表示する機能も抜かりなく備えています。

さらに大画面を活かして2つにスプリット表示したディスプレイに別々のアプリを起動してマルチタスク操作が行えます。

4つのDACで迫力のサウンド。イヤホン端子も生き残る

内蔵スピーカーはステレオ仕様。立体感のあるサラウンド再生を端末単体で楽しめるDTS:Xのテクノロジーをサポートしたほか、従来のLG Vシリーズにも搭載している4つのDACでデジタル音声信号のDA変換を並列に処理することで、音の歪み、ノイズを抑える「32bit Hi-Fi Quad DAC」も搭載し迫力のあるサウンドを再現します。

最近は本体を薄型化するために、あるいは防水性能を高めるためにアナログイヤホン端子を取り除くスマホが増えていますが、LG V50 ThinQ 5Gはアナログイヤホン端子をしぶとく残しました。ハイエンドな有線イヤホンを数多く所有する筆者としてはLGエレクトロニクスの心意気に拍手喝采です。

  • V50 ThinQ 5G

    イヤホン・スピーカー再生ともにオーディオには伝統的にこだわっている

同社のQuad DAC回路は音のクリアさもさることながらアンプの品質がとても良いので、ハイレゾに限らずあらゆる音楽がイヤホンリスニングでも活き活きと楽しめるのが最大の魅力です。音質はイギリスの著名オーディオブランドであるMeridianがチューニングしているので、絶妙なバランス感覚と解像度の高さにもぜひ注目したいところです。

  • ヒートパイプを強化して熱くなりにくいボディとした

2画面になる専用アクセサリ「Dual Screen」に注目

  • V50 ThinQ 5G

    “2画面”に近いエンタテインメント体験を実現するアクセサリー「Dual Screen」

MWCの開催に合わせて、サムスンとファーウェイが折りたためる大画面スマホをそれぞれ商品として発表しました。いずれも魅力的なスマホではありますが、値段が予告されている値段が20万円を超えるうえ、耐久性やポータビリティを考えるとシンプルなシングル画面・スレートタイプの従来のスマホを選びたいという方も多いはずです。

LG V50 ThinQ 5Gがユニークなのは、専用アクセサリー「Dual Screen」を装着して2画面スマホに近似したユーザー体験を提供したことです。

  • まるで二つのV50 ThinQが並んでいるような出で立ちになる。対応するゲームアプリを起動するとDual Screenに搭載するディスプレイがコントローラーのような役割を果たす

Dual Screenは6.2インチのFHD+(2160×1080画素)有機ELディスプレイを搭載した画面付のハードタイプのアタッチメントです。これをV50 ThinQ 5Gにカチッと装着すると、まるで2画面スマホのような出で立ちに変わります。

スマホの背面に配置されたピンコネクタで信号の伝送、Dual Screenへの電源を供給します。Dual Screenに対応するアプリはゲームやメール、ビデオコールなど。特にゲームを楽しむ際にはDual Screenの画面をバーチャルコントローラーのようにして機能的な使い方ができます。

Dual Screenは接続したV50 ThinQ 5Gから電源供給を受けるので充電不要。どれぐらいの価格になるアクセサリーなのか気になるところではありますが、2画面スマホと同等の体験を気軽に楽しめる価格帯になることを期待したいところです。

スマホの本体には4,000mAhの大容量バッテリーを搭載。ゲームや動画視聴、4K動画撮影を長時間楽しんでも本体が熱くなり過ぎないようにLG V40 ThinQよりも放熱用のヒートパイプを270%も大型化しました。

5G対応を積極的に図りながら、大画面+2画面対応のトレンドにも現実的な対応策を導き出した本機の挑戦は、とても意欲的であると評価しても良いのではないでしょうか。

  • LGの最新スマホは2019年から世界各地の通信事業者で次々と取り扱われる予定だという