オープンソースをエンタープライズでも使いやすく

続いて、ロメッティ氏はハイブリッドクラウドについて触れ「現状では企業のアプリケーションは平均して20%のワークロードでしか動いていないのです。残りの80%は基幹アプリケーションであり、モダナイズするべきです。クラウド時代が過ぎ、ミッションクリティカルの領域に移動しています」と指摘。

  • IBM Chairman President and CEOのGinni Rometty(ジニ・ロメッティ)氏

企業では、コンプライアンスやデータのロケーションなどの要件に対応するために、ハイブリッドクラウド/マルチクラウドが目的地になるという。そのために同氏は「オープンかつ安全であり、管理されている単一の手法を採用するべきです」と強調する。

これらを支援するために、複数のパブリッククラウド上におけるサービスやアプリケーションの展開を効率化するための「IBM Cloud Integration Platform」など、ハイブリッドクラウド向けの新ツール・サービス群を発表している。

そして、ロメッティ氏に促されてステージに登壇したのは米Red Hat CEOのJim Whitehurst(ジム・ホワイトハースト)氏だ。両氏は「ハイブリッドクラウドの将来に対するパートナーシップの重要性」について意見を交わした。

まず、ロメッティ氏はRed Hatがなぜオープンコミュニティやオープンソフトウェアの立場にいるのかと質問。これに対し、ホワイトハースト氏は過去10年間にユーザーであるGoogleやFacebook、Twitter、Linkedinなどスケールアウトのプラットフォーマーに駆動型のイノベーションが起きていたからだと話す。

また、同氏は「これらのプラットフォーマーが巨大なテクノロジーを用いて、大型データセンターでデータ処理などをすることにより、爆発的にテクノロジーの速度が推進されて、その副産物としてコンテナやKubernetesをはじめとした新しいオープンソースが誕生しました。しかし、ライフサイクルやセキュリティなどに課題を抱えているため、エンタープライズ環境でも使いやすいようにするべきなのです」と、説明する。

  • 米Red Hat CEOのJim Whitehurst(ジム・ホワイトハースト)氏

    米Red Hat CEOのJim Whitehurst(ジム・ホワイトハースト)氏

ホワイトハースト氏は「ハイブリッドクラウドの拡張性を考えると、例えばコンテナは各社のパブリッククラウド、データセンター、エッジでも運用できます。ハイブリッドクラウドにエッジを含めればエンタープライズ分野で幅の広い、イノベーティブなストラクチャを作ることが可能です。エンタープライズもプラットフォームを考える必要があるでしょう」と述べていた。

一方、ハイブリッドクラウドにしろ、AIにしろ、「オープン」であることを強調していたロメッティ氏は「未来を描くために、お互いに深くコミットしています」と締めくくっており、両社の今後の取り組みに注目していきたいところだ。