米IBMは2月12日(現地時間)、企業がパブリック・クラウド、プライベート・クラウド、オンプレミスのIT環境を問わず、一貫したセキュアな方法でアプリケーションやワークロードの移行・統合・管理できるよう支援するという、一連の新しいハイブリッド・クラウド・オファリングを発表した。

具体的には、「IBM Cloud Integration Platform」、IBM Servicesの新サービス、パブリック・クラウド向けのセキュリティサービスの3点。

IBM Cloud Integration Platformは、一貫したセキュアな方法で、複数のパブリック・クラウド環境における新しいサービスやアプリケーションの展開するための、時間や複雑さを低減するという。

同プラットフォームは、システムが存在する場所(オンプレミス、パブリック・クラウドまたはプライベート・クラウド)を問わず、多様なベンダーが提供するアプリケーション、ソフトウェア、サービスをセキュアに繋げられるよう設計したという。

このプラットフォームにより、開発者が必要とする統合ツールの包括的なセットを、単一の開発環境にまとめることが可能とのこと。

これにより、システム統合のスペシャリストが一度作成、テスト、保護したコードをプラットフォームに保存することで再利用できるようになり、生産性を高められるとしている。

同プラットフォームを利用することで、企業は引き続きセキュリティとコンプライアンスに関する固有の要件を守りながら、システム統合にかかる時間とコストを3分の1に削減可能になるという。

企業では今後、統合スペシャリストの負荷が減り、より複雑なシステム・レベルの統合に専念できるようになると共に、新しい機能を速やかに提供可能になるという。

IBM Servicesの新サービスは、新しいエンド・トゥ・エンドのIBM Hybrid Cloud Servicesとして、包括的なクラウド戦略について助言し、複数のクラウド環境をまたぐリソース管理を簡素化するもの。

具体的には、「IBM Services for Cloud Strategy and Design」及び「IBM Services for Multicloud Management」の2種類。

IBM Services for Cloud Strategy and Designは、設計から移行、統合、ロードマップの作成、構築サービスからクラウド・ジャーニーのナビゲートまで、ユーザー企業に適切かつ総合的なクラウド戦略の構築方法について助言するよう設計したサービスの包括的なセット。

同サービスでは、複数のクラウド・プラットフォームの最新サービスやテクノロジーに精通した認定エキスパートであるコンサルタントによる専任チームを立ち上げる。

このチームは、ITの変革及びクラウド・パートナーによるエコシステムとの協業における同社の経験を活用しながら、オープンでセキュアなマルチクラウド戦略を採用する。

また同サービスは、IBMのCloud Innovate手法、自動意思決定アクセラレータ及びIBM Cloud Garageのアプローチを活用し、ユーザー企業によるアプリケーションの開発、移行、最新化、管理を支援するという。

IBM Services for Multicloud Managementは、同社と米ServiceNowとのパートナーシップ拡大に関する発表に伴い発表したもの。

同サービスでは、ユーザー企業が複数のクラウド・プロバイダ、オンプレミス環境、プライベート・クラウドにまたがるITリソースの管理を簡素化するための一元システムを提供するという。

この提供物には、一元管理・運用システムを提供するよう設計した、ビジネス管理、オーケストレーション、運用の3つの層を含む。

さらに、ServiceNowポータルと統合した環境を介し、複数のクラウド・プロバイダのクラウド・サービスやソリューションを構成・調達することで、利用者がより迅速かつ容易にクラウド・サービスにアクセスできる、統合したセルフ・サービス環境を提供する。 また、クラウドの状態を監視・管理する手段となる、パフォーマンス管理サービスも提供する。

パブリック・クラウド向けのセキュリティサービスとしては、IBM LinuxOneを同社のグローバルなクラウド・データ・センターに取り入れ、パブリック・クラウド上で高い水準のセキュリティを提供するという「IBM Cloud Hyper Protect Crypto Service」を提供開始する。

このサービスは、専用のクラウド・ハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)による暗号鍵の管理機能を備えており、パブリック・プロバイダが提供する唯一のFIPS 140-2 Level 4認定テクノロジーを使用しているとのこと。

同サービスは、DACSやSolitaire Interglobalといった企業のアプリケーションに対し、高い水準のセキュリティとレジリエンシーを提供しているというIBM Cloud Hyper Protectのサービス・ファミリーの1つ。 また、パブリック・クラウド及びプライベート・クラウドの双方に高い水準の保護を提供するため、同社はIBM Cloud Private on Zに大幅な機能拡張を行ったという。