半導体市場調査企業の仏Yole Développementは、2017年に139億ドルまで市場規模を成長させたCMOSイメージセンサ市場が、今後5年間で、年平均9.4%で成長を続けていくとの見通しを明らかにした。
トップシェアのソニーをSamsungが追撃
CMOSイメージセンササプライヤの市場シェアを見ると、トップはソニーの子会社ソニーセミコンダクタソリューションズで、2017年のシェアは42%。同社の製品はAppleのiPhoneをはじめ、さまざまな製品に搭載されていることでしられている。また、2位は韓Samsung Electronicsで、CMOSイメージセンサと周辺回路、メモリの3D積層化、そしてそれらを総合したセンサ性能でソニーをキャッチアップしてきており、自社のみならず中国のスマートフォン(スマホ)メーカーにも採用されるようになってきた。
3位は中国勢に買収されたOmniVision Technologies、そして4位はON Semiconductorだが、いずれも車載向けに強みをもっており、特にON Semiは、車載向けに注力することで、同分野でのトップシェアを獲得している。続くSTMicroelectronicsや中Smartsensといった企業もシェアを徐々に高めてきている。特にSTMicroは、仏Soitec製のSOIベースのNIR(近赤外)センサがApple iPhone Xに搭載されたこともあり、成長を遂げている。
今後も増加が続くCMOSイメージセンサ需要
CMOSイメージセンサ市場は、2017年以降、スマホ分野ではデュアルカメラ化が進んでいるほか、解像度の向上や暗闇での感度向上、光学ズーム機能の付加など、性能向上ガ著しい。また、フロントカメラもデュアルカメラ化が進む可能性がiPhone Xの登場以降高まっており、今後、スマホに搭載されるCMOSイメージセンサの数は、まだ増えそうな気配である。
このほかの市場として、有望視されている1つがセキュリティシステムだが、人間の目による監視から機械による監視(マシンビジョン)が進むため、採用されるCMOSイメージセンサ数は増加する見通しである。また、自動車分野でも、リアバックアップカメラの装着が米国で義務付けられたことから、増加するほか、ADAS(Advanced Driver Assistance System)の進化により、さらに増加していく見込みとなっており、市場規模の拡大に一役買う存在となってきている。
なお、Yoleでは、今後、自動運転やセキュリティ用途に代表されるマシンビジョン(コンピュータビジョン)の時代へと本格的な流れが生まれ、2030年までにそれを支える技術が主流となるとの見通しを示すほか、さらにその先には、再びヒューマンビジョン(写真)を強化する時代が来る可能性もあるとしている。