米Appleは9月12日 (現地時間)、米カリフォルニア州クパチーノで開催したスペシャルイベントで、iPhoneの新フラッグシップ「iPhone XS」と「iPhone XS Max」を発表した。XSはディスプレイサイズが「iPhone X」と同じ5.8インチ、XS MaxはiPhone史上で最も大きい6.5インチ。どちらも7nmプロセス製造の「A12 Bionic」チップを搭載する。9月14日に日本を含む世界30カ国以上で予約注文の受け付けを開始し、9月21日に発売する。

  • 「iPhone Xs Max」と「iPhone Xs」

    「iPhone XS Max」と「iPhone XS」

iPhone XSとiPhone XS Maxは、iPhone Xの高速版プラスと呼べる新モデルだ。本体デザインはiPhone Xから大きな変更はない。有機EL (OLED)ディスプレイを搭載。狭額縁で表面全体にディスプレイが広がり、ホームボタンが無く、TrueDepthカメラによる顔認識アンロックや、スワイプとタップをフル活用したジェスチャーで快適に使用できる。

iPhone XSとiPhone XS Maxの違いはディスプレイと本体のサイズ、内蔵バッテリーの大きさとバッテリー駆動時間だ。

iPhone XS
  • ディスプレイ: 5.8インチ (2,436×1,125、458ppi) Super Retina HDディスプレイ
  • サイズ: 143.6×70.9×7.7ミリ
  • 重量: 177グラム
  • バッテリー駆動時間: iPhone Xより最大30分長い (インターネット利用: 最大12時間、ビデオ再生: 最大14時間)
iPhone XS Max
  • ディスプレイ: 6.5インチ (2,688×1,242、458ppi) Super Retina HDディスプレイ
  • サイズ: 157.5×77.4×7.7ミリ
  • 重量: 208グラム
  • バッテリー駆動時間: iPhone Xより最大1.5時間長い (インターネット利用: 最大13時間、ビデオ再生: 最大15時間)

Super Retina HDディスプレイは、コントラスト比が1,000,000:1、P3の広色域に対応する。最大輝度は625cd/m2だ。周囲の光の色に合わせてディスプレイの色や明度を自動調整する「True Tone」をサポートする。

  • 「iPhone Xs Max」と「iPhone Xs」

    狭額縁で表面全体にディスプレイが広がるため、「iPhone XS」は「iPhone 8 Plus」より本体が一回り小さいのに画面がわずかに大きく、「iPhone XS Max」は「iPhone 8 Plus」とほぼ同じ本体サイズで画面は二回りぐらい大きい

フレームはiPhone Xと同じステンレススチールだが、ガラスとの接合の改良によって防沫/耐水/防塵性能がIP67等級からIP68等級に向上している。水深最大2メートルで30分間までの水没に耐えられ、粉塵が内部に侵入するのも防ぐ。

  • 防沫/耐水/防塵性能がIP68に向上

    防沫/耐水/防塵性能がIP68に向上、コーヒーやソーダなど飲み物をこぼしてもしっかりと保護

A12 Bionicは、性能コア×2、効率コア×4、4コアGPU、そして8コアアーキテクチャのNeural Engineから成る。A11 Bionicとの比較で、性能コアは最大15%高速、効率コアの消費電力が最大50%少なく、グラフィックス性能は最大50%高速、そしてCore MLの動作が最大9倍高速だ。3DゲームやARアプリ、フロントカメラを用いた3Dエフェクトやミー文字などをよりパワフルに楽しめ、TrueDepthカメラとNeural Engineの連携によって顔認識機能「Face ID」が高速かつ高精度にユーザーを認識するなど、高速化が全体的な利用体験の向上をもたらす。

  • AR、3Dゲーム、写真/ビデオ編集などの体験が向上

    A12 BionicチップがAR、3Dゲーム、写真/ビデオ編集などの体験を引き上げる

TrueDepthカメラは、7メガピクセルカメラ (F2.2)、赤外線カメラ、ドットプロジェクタ、投光イルミネータなどで構成され、目に見えない30,000以上のドットを投射して、ユーザーの顔の精微な深度マップを作成する。Face ID、アニ文字とミー文字、1080p (30/60fps)のビデオ撮影、写真のスマートHDR、ビデオの手ブレ補正などをサポートする。

背面のメインカメラは、12メガピクセルの広角カメラ (F1.8)と望遠カメラ (F2.4)によるデュアルカメラで、光学2倍ズームとなっている。光学式デュアル手ブレ補正、ビデオ手ブレ補正をサポート。写真のスマートHDR、4K (24/30/60fps)/ 1080p (30/60fps)/ 720p (30fps)のビデオ撮影、手ブレ補正を用いたタイムラプスビデオ撮影などが可能。クアッドLEDのTrue Toneフラッシュを備える。

A12 BionicのISP (画像信号プロセッサ)は、先進的な深度エンジンを搭載、Neural Engineとの組み合わせでシャッターごとに数兆規模の演算処理を行って撮影シーンを最高の1枚に仕上げる。美しいボケを表現するポートレートモードに、新たに深度コントロール機能が加わった。これは明るいレンズで絞りを開放した背景ボケから、背景もしっかりと写る絞り込んだ表現まで、撮影後にユーザーが調整できる機能だ。

  • 深度コントロール機能

    f1.4開放(左)からf16 (右)まで、撮影後にスライダーを動かして背景のボケ味を調整

映像コンテンツの迫力ある視聴体験を実現するDolby Visionに対応。スピーカーのステレオ再生がよりワイドになっており、iTunes、NetflixやAmazonプライム・ビデオで配信されるHDR10対応作品を、豊かな色域表現の映像と臨場感あふれるサウンドで楽しめる。

ワイヤレス機能は、Wi-Fi (2x2 MIMO対応802.11ac)、Bluetooth 5.0、リーダーモード対応NFCなど。充電やデータ転送用のコネクタはLightningだ。nano-SIMとeSIMの組み合わせで、iPhoneで初めてデュアルSIMをサポートする。

iPhone XSとiPhone XS Maxとも、64GB、256GB、またはiPhone初となる512GBのストレージ、ゴールド/ スペースグレイ/ シルバーの本体カラーを選択できる。価格は、iPhone XSが112,800円 (64GB)、129,800円 (256GB)、152,800円 (512GB)。iPhone XS Maxが124,800円 (64GB)、141,800円 (256GB)、164,800円 (512GB)。