Appleの2018年第3四半期決算において、現在最も成長しているのが「その他の製品」カテゴリであることが明らかになった。売上高は前年同期比で37%増と、力強い成長を見せている。
決算サマリーで特に強調されているわけではないが、「ウェアラブル」製品、すなわちApple Watch、AirPods、Beats製品は、直近の4四半期で100億ドルの売上を超え、年間の成長率は60%増であることが分かった。
筆者が2018年3月にAppleのスペシャルイベントでシカゴを訪れた際、驚いたのは、サンフランシスコと比較してAirPodsを利用している人の数が多いことだった。テック企業が多く集まる西海岸では、ユーザーの好みも分かれるようで、シカゴのように道行く人の多くがAirPodsを使っているという感じではない。サンフランシスコの風景に馴染んでる筆者にしたら、シカゴの光景は違和感を覚えるほど異なって見える。
2018年第3四半期決算の電話会議でTim Cook CEOは、投資家やアナリストにこう語った。まるで「iPod」現象を体験しているように、白いケーブルなしのイヤホンを街で見かける、と。
iPhoneは引き続き、売り上げを伸張させるだろうが、少しその状況が変わって来ている。iPhone Xをはじめとする魅力的な現行モデルでは、1台あたりの平均販売価格が上昇している。結果、微増の販売台数で、売り上げが伸びる格好となる。結果、iPhoneの売上高は20%上昇するという展開になった。
そのiPhoneの好調さは、サービス部門の成長(同四半期は+34%)と、ウェアラブルデバイスの成長を牽引している。iPhoneのためのアクセサリによって、Appleは1人のiPhone購入者から、より多くの売上を得ることに成功しているのだ。
そうした状況から、Appleが攻めていくべき道筋が見えてくる。
Apple Watchでの心拍と体の動きの計測機能は、iPhoneでは集められたなかったデータをユーザーに提供するのに成功している。これらのデータについて、ユーザーが自分の健康管理の手段として活用する部分を強調したのも、正しい戦略だった。
そして、ウェアラブルデバイスには、まだまだ様々な可能性がある。
例えばApple Watchを用いなくても、AirPodsを使って心拍を耳から計測することも可能だ。また、左右の加速度センサーを生かして頭のバランスを計測し、ランニングやウォーキング、日々の生活の中での「姿勢」や「体の重心」を計測し、修正に役立てることもできるようになる。
また、ヘッドホンや時計とともに期待される新しいウェアラブルデバイス「メガネ」を用いることで、やはり姿勢や重心の計測が可能であるほか、視線や目の動きのセンシングは、そのときどきのストレスレベル集中力や眠気レベルの測定にも役立てることだろう。 もちろん、人によってはたくさんの自分の体の情報が見えない方が良い、と思う人もいるはずで、活用するかどうかは常に取捨選択となる。しかし、これらの情報が手軽に取れるようになることは、アプリ開発者の可能性を拡げることにほかならない。