昨今のiPhoneの販売台数と売上高の傾向は、Cook氏が指摘したとおり、販売台数の微増もしくは微減に対して、売上高が10%後半から20%程度成長するというのが続いている。
iPhone Xだけでなく、最も廉価なモデルの価格を50ドル引き上げたiPhone 8が、ここに来て先進国を中心に販売ランキングのトップに躍り出るなど、iPhoneのラインアップ全体の価格が上がっても、売上高増に繋がる状況が生まれている。
Cook氏は、米国、英国、日本ではスマートフォン販売の上位を2017年モデルのiPhoneが占めていると指摘し、市場を正確に読み取ることは難しいとしながらも、グローバルでiPhoneが善戦していると訴える。
昨今の決算発表では「iPhoneのアクティブインストールベース」を示すようになった。今回の2018年第3四半期決算では具体的な人数は示していないが、Cook氏は次のように語っている。
「iPhoneのアクティブインストールベースは、高いロイヤリティとAndroidからの以降ユーザーにより、2桁成長を遂げ、顧客満足度98%を獲得している。<中略>iPhoneのインストールベースは我々にとって非常に重要で、サービス部門を牽引する鍵となっている」
過去の発表では、10億台という数字が明らかになっており、連載次回でまとめるが、Appleが抱えるサブスクリプションサービスのユーザー数は3億人に達している。サービス部門の高成長は、インストールベースの急速な拡大によるものだ。
スマートフォンが飽和していく中で、販売台数は確かに売上高増大につながるが、既存ユーザーの買い換えが中心になっていけば、サービス部門の拡大にはつながりにくい。そのため、新たにスマートフォンを手に入れるユーザー以上に、Androidユーザーの取り込みが課題となっており、今後のマーケティング戦略のフォーカスもそこに移っていくことになるだろう。