MAYA SYSTEMは9日、プラスワン・マーケティングより譲渡を受けた「FREETEL」ブランドのスマートフォン事業について、メディア向けの説明会を開催した。

  • 説明会に登壇した取締役社長の吉田利一氏と(左から2人目)とECマーケティング部長の山崎正志氏(右)

スマートフォンの製造・販売事業、およびMVNO事業を手がけていたプラスワン・マーケティングは、資金繰りの悪化を理由に2017年秋、国内MVNO事業を楽天に譲渡。12月4日には東京地裁に民事再生法の適用を申請し、残るスマートフォンの製造・販売事業をMAYA SYSTEMに譲渡している。

MAYA SYSTEMはコールセンター業務や人材派遣業を皮切りに、ITソリューション事業、IoT事業などを幅広く手がける企業。ITソリューション事業では、eSIMを内蔵し、SIMカードを入れ換える手間なく世界中のモバイルネットワークに接続可能な、4G LTE対応モバイルWi-Fiルータ「jetfi(ジェットファイ)」のレンタル、販売業務を主軸に据える。

eSIM搭載スマートフォンの開発に着手

プラスワン・マーケティングには、eSIMを搭載する独自端末の開発を目指していたMAYA SYSTEM側からアプローチし、2017年6月頃から協業に向けた検討を重ねていた。出資も模索していたが、その過程でプラスワン・マーケティングが民事再生法の適用を申請する事態となったため、同社から「FREETEL」ブランドのスマートフォン事業を譲受することにしたという。

  • eSIM対応の「jetfi」はAndroidベースで電話もかけられるとアピールする吉田社長

説明会に登壇した吉田利一社長は、プラスワン・マーケティングの運営について、「一気に手広くやり過ぎたのではないか」と冷静に分析。一方でFREETELのスマートフォンについては「日本の消費者に向けた端末を手がけている」と高く評価していて、「周囲から買って良かったかと聞かれるが、答えはイエスです」と力強く宣言した。

「FREETELの優秀な社員と、30万人近いカスタマー、販売チャネル、良くも悪くも知られているブランドが得られたことは、我々にとって大きなプラス」と吉田社長。FREETELを得たことによって、同社が目指してきた国境を超え世界中で使える「eSIM搭載のスマートフォン」の早期提供が可能になったという。「eSIM搭載のスマートフォンがあれば、モバイルWi-Fiルーターとの2台持ちや、プリペイドSIMも不要。さらに将来はVPNの機能も提供する予定で、中国などでもLINEが使えるようになる」と、そのメリットを紹介した。

  • 「jetfi」と同様の機能をSIMフリースマートフォンに搭載すれば、国内では格安スマホ、海外ではSIMを差し替えることなく通信ができる

FREETELのカスタマーサポートも増強へ

同社ではまず、FREETELのカスタマーサポートを、MAYA SYSTEMが手がけるコールセンター事業にアウトソーシングすることで、サポート体制の大幅な強化をはかる計画。さらにeSIM搭載のスマートフォンだけでなく、eSIMを使ったグローバル市場向けのIoTチップも開発。IoTアプリケーションを手がける子会社と連携をはかるなど、グループとしてのシナジーを最大限に高めたい考えだ。

なおグローバルでの販売チャネルに関しては、もともとMAYA SYSTEMが拠点を構えていた台湾、ベトナムに加え、プラスワン・マーケティングの拠点があるドバイも活用。各拠点を足がかりに、スマートフォンをアジアやアフリカの新興国へ展開していく。

  • グループ内のシナジーを最大化し、eSIMスマートフォンなどの新たな価値を生み出して、他メーカーとの差別化をはかる考えだ