iPhone戦略での注目は?

主力製品であるiPhoneが属するスマートフォン市場は、世界的な成長限界に近づいており、買い替え需要や乗り換え需要をいかにつかむか、それが販売台数を伸ばす鍵となっている。

また、別の尺度として、平均販売価格を高めることによる売上高の上昇も採りうるべき戦略だ。こちらについては、iPhone Xの投入がもっともわかりやすい施策だった。

アップルは2018年モデルで、iPhone Xのようにホームボタンなし、Face IDによる顔認証機能を備えた全画面モデルへと移行させていくことになるとみられる。iPhone Xよりさらに大きな有機EL液晶を備えるモデルが登場することは想像に容易だ。

5.8インチモデルの値下げとともに、大画面モデルの投入を行い、平均販売価格を高止まりする戦略に打って出てくるのではないか、と予測している。

廉価版モデルを魅力的にする?

先進国市場で5割前後のシェアを誇るアップルが、さらに他社からシェアを奪って行くには、アップルがこれまで苦手としている廉価版のiPhoneのラインアップ強化に努めることが必要となる。

現在、最新モデルとしてiPhone 8・iPhone 8 Plus、iPhone Xの3機種が用意されており、iPhone 6sシリーズ、iPhone 7シリーズ、そしてiPhone SEの、合計8機種が販売されている。価格はiPhone SEの349ドルから100ドル刻みで展開している。

iPhone SE以外のモデルは1-2年前の最新モデルが充てられており、最新のiOS 11では、A9を搭載する2年前のiPhone 6sやiPhone SEでも、最新の拡張現実アプリを動作させることができるように整備している。

筆者が注目しているのは、iPhone SEの刷新だ。

iPhone SEは2016年3月に、当時の最新モデルであるiPhone 6sと同じA9プロセッサや1200万画素カメラを備えながら、iPhone 5sと同じ4インチサイズのボディを採用した廉価版スマートフォンとして登場した。すでに2年が経過し、現在はiOS 11で全ての体験を楽しむことができる下限の性能に位置している。

  • iPhone SEの刷新を期待

同じA9プロセッサを登場するiPhone 6sは、2018年モデルのiPhoneが登場する際にラインアップから姿を消すことが考えられるが、iPhone SEが引き続きラインアップに残されるのであれば、次期iOSに向けた性能向上が必要となる。

例えば、iPhone 7と同じA10 Fusionや、iPhone 8と同じA11 Bionicプロセッサを搭載したモデルへと刷新されることを期待している。

  • A11 Bionicプロセッサの搭載を期待

iPhone SEは、日本でも端末価格の安さから格安SIMとの組み合わせで人気を集めているものの、iPhone 7以降対応している日本での店頭や改札でのApple Payにはまだ対応していない。

今年刷新することで、アップルがこれまで苦手だった低価格帯のスマートフォンを求めるユーザーに訴求することができるようになり、販売台数の向上を目指す上で重要な施策となるだろう。