2017年は初代iPhoneの登場から10周年の年でした。またiPhoneの買い替えが活発になるスーパーサイクルも重なりました。xx周年というのはメーカーとしてはお祭りのように盛り上げられるチャンスです。だから、Appleは贅沢にデザインした究極のiPhoneと呼べるようなものを発売すると多くが予想していました。
ところが、Appleが投入してきた「iPhone X」はプロタイプ色が強く、究極というより、成熟して終焉が見えてきた従来のスマートフォンを再定義するような端末。"始まりのiPhone"でした。
iPhone XはiPhone 8最大のライバル
iPhone XはAppleが10年をかけて作り上げてきたこれまでのiPhone市場を自ら壊し、再構築する「セルフ-ディスラプション (自身による創造的破壊)」です。でも、もし同社が昨年iPhoneの唯一の新モデルとして、iPhone Xを投入していたら人々の拒否反応も相当だったはずです。
そこでAppleは「集大成モデル (iPhone 8シリーズ)」と「革新的モデル (iPhone X)」、2つを同時にリリースし、2つを人々が同時に体験できるようにしました。
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A10よりも、CPUの高性能コアが最大70％、高効率コアが最大25％高速な「A11 Bionic」チップを搭載、メインカメラが強化され、ワイヤレス充電に対応した「iPhone 8」シリーズ
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「A11 Bionic」チップを搭載、OLEDの採用で前面全体にディスプレイが広がり、TrueDepthカメラによる顔認識機能 (Face ID)も活用した新しいユーザーインターフェイス備える「iPhone X」
集大成モデルは、これまでのiPhoneの歴史を凝縮した「これがiPhone」と呼べるようなモデルです。ユーザーインタフェースが変わった革新的モデルの方は、ユーザーに変化や学習を求めます。でも、未来に関心を持ち、そうした苦労を厭わないユーザーは確かに存在します。そんなユーザーが変化の礎になり、これからの変化を加速させてくれるでしょう。盤石なiPhone 8シリーズに、最大のライバルとして自らiPhone XをぶつけたApple。2017年のiPhoneは「変化を恐れないApple」らしいラインナップになりました。
