MM総研は14日、2017年9月末における国内MVNO市場の回線契約実績を公表した。独自サービス型SIMの回線契約数は、前年比42.1%増の934.4万と急増した。しかし、MVNOへの顧客流入数は減っており、従前の予測を大幅に修正している。
2017年9月末時点の携帯電話(3GとLTE)契約数は1億6423.4万回線となり、独自サービス型SIMの回線契約数は市場全体の5.7%となった。
事業者シェアではトップとなったのはインターネットイニシアティブで13.9%(130万回線 )だった。2位はNTTコミュニケーションズで12.2%(113.9万回線)、3位は楽天で11.4%(106.3万回線)、4位はケイ・オプティコムで8.2%(76.8万回線)、5位はUQコミュニケーションズで6.4%(60.2万回線)、6位はビッグローブで4.7%(44.1万回線)。これらの数値にはIoT用途を含んでおり、個人向けMVNOでは楽天がトップとなるようだ。
MVNO市場の現状については、大手携帯キャリアの新料金プランやY!mobileの攻勢により、MVNOへの顧客流入数が減少している。MVNOへの流入減少は今夏から指摘され始めたことで、その後に続く経営者の所感なども合わせてみると興味深い。
11月の決算会見でKDDIの田中孝司社長は「auスターと新料金プランがダブルで効いて、(MVNOより)MNOの方がいいというインサイトができつつあると想像している」「新料金プランをさらに浸透させ、解約減の効果を持つau STARもさらに強化して流出を止めたいと思っている」などとコメント。料金プランなどの施策がMVNOへの流出減の決め手になったと見ているのだ。
経営者の所感と、MM総研の調査結果は一致するものであり、この先も携帯キャリアの施策には注目されるところだ。MM総研でも大手キャリアとサブブランドを含めた競争環境に大きな変化が生じない限り、こうした傾向は続くと予測。2018年3月末時点の独自サービス型SIMの総回線契約数は、2017年期初予測比で95万回線減の1075万回線になると見ている。