―― 現在、ファーウェイの世界シェアは第3位です。2位も見えてきました。やはり1位を目指すのでしょうか。そのとき、必要なもの、足りないものは?

Jim Xu氏 : ファーウェイはグローバルで事業展開していますが、思うに、市場のチャンスがファーウェイの能力をはるかに上回っているのです。市場が期待してくれていると認識しています。戦略的な方向性は「品質」です。製品はもちろん、R&D(研究開発)においてもです。

2つ目はチップセット技術で、研究や投資によって、差別化を図ります。これは将来、大きなアドバンテージになるでしょう。

3つ目は、ソフトウェアのユーザー体験です。アップルのiOS以外はAndroidスマホなわけですが、Androidは使い続けるとパフォーマンスが落ちます。最初の状態から1年後には、だいたい20%~30%、パフォーマンスが低下するといわれています。そこでMate 9から、ソフトウェアの最適化を図ることによって、スムーズに使える期間を18カ月まで伸ばしました。Android陣営の中で、ファーウェイのスマホが一番使いやすくなると信じています。

4つ目は、世界の一流企業とのパートナーシップによって、スマホの機能を強化します。具体的には、ライカとの協力でスマホのカメラを業界ナンバーワンに、Harman Kardonとの協力でタブレットのオーディオを最適化、ドルビーとの協力でMateBookのオーディオを最適化といったものです。常にオープンな姿勢を持って、業界のパートナーを見つけることが大切です。

5つ目は、エコシステムの構築です。スマホ、ウェアラブル、スマートホームといったように、ファーウェイのさまざまなデバイスがエコシステムを構築することで、消費者により良い体験を提供できるようになります。

これら5つのこと、これからも努力を続けていきます。ライバルを超える目標というのは定めていませんが、まずは自分たちに能力をつけること、消費者に価値を提供して認められることです。消費者から見れば、支払ったお金に見合う価値が大切ですし、ファーウェイの製品を楽しんで使っていただきたいです。端末の順位には価値を持っていません。価値を創り出すことが大事なのです。

―― AmazonやFacebookといった、サービスプラットフォームとの協業については、どのようにお考えでしょうか。

Jim Xu氏 : Facebook、Amazon、アリババとは業務提携しています。Amazonとアリババはeコマースですから、消費行動にまつわる膨大なビッグデータを持っています。どんな消費者をターゲットとして決めるか、どんなふうにアプローチし、どんなふうに販売していくかなど、マーケットインサイトを調査する上で非常に役立ちます。

また、中国において、サードパーティーとの取り組みがあります。グリーンアライアンスと協力して、ファーウェイがオープンラボを作りました。このオープンラボでアプリをテストしてから、ファーウェイのアプリストアで提供します。ファーウェイのスマホからアプリをダウンロードするとき、マルウェア感染などの心配がないため、安心して使っていただけます。

2つ目の事例は、スマートホームのソリューションです。新しく家を買ったとき、リフォームしたとき、家電製品を「つないで」いくことは、中国でホットな話題です。ファーウェイは家電製品を作っていませんが、プロトコルやチップを作っており、中国の家電業界からサポートを受けています。異なるメーカーの家電製品をつなぎ、ファーウェイのスマホでコントロールできます。これは2018年から、海外に向けて展開していく予定です。