「EcoStruxure IT」が可能にすること
すでに、シュナイダーエレクトリックでは電力供給向けフレームワーク「EcoStruxure Power」、IIoT向けフレームワーク「EcoStruxure Machine」、プラント向けフレームワーク「EcoStruxure Plant」、電力グリッド向けフレームワーク「EcoStruxure Grid」を提供している。
そして今回、DCIM(Data Center Infrastructure Management)向けフレームワークのEcoStruxure IT、ビル管理向けフレームワークのEcoStruxure Building、インダストリー向けフレームワークのEcoStruxure Industrial Softwareを発表し、ドメインを拡充した。
EcoStruxure ITは、クラウドとエッジ環境にまたがるハイブリッドIT、およびデータセンター環境に特化したクラウドベースのアーキテクチャを提供するDCIM(Data Center Infrastructure Management)。サードパーティー製品も含めたベンダーを問わないアーキテクチャとなっており、インフラ性能の最適化とリスクの軽減を実現するための実用的でリアルタイムな情報を提供することができ、重要な情報資産に関するインサイトを提供するという。
同ソリューションは「EcoStruxure IT Expert」と「EcoStruxure IT Advisor」の2つで構成する。Expertはアプリケーション搭載のコンピュータやスマートフォンから1回のタップでアクセスし、リモートでハイブリッド環境の可視化を提供し、動向分析、保守、故障予測、効率比較など性能評価を可能としている。
また、Advisorは企業およびコロケーションのユーザーのために、システムの最適化と在庫管理を向上。これにより、オンプレミス、オフプレミス問わず、多様なサイトロケーションにわたり、管理、プランニング、予測が可能になり、異常が発生した機器の特定と対処が容易に行えるため修理時間の短縮が図れる。さらに「IT Advisor Remote Service」は、同社のサービスセンターによる24時間365日体制のリモート監視とサポートを提供する。
Expert、Advisorともに2018年に地域限定での提供開始を予定している。なお、従来から提供していたデータセンターおよびIT導入に適したオンプレミス向けの内蔵型監視・運用管理ソリューション「StruxureWare」は、EcoStruxure ITの一部として提供を継続する。
シュナイダーにおける「持続可能性」
EcoStruxure Buildingは、開発者とパートナーによる交流、データの共有、アプリの開発を可能にする共同スマートビルディングプラットフォームおよびオープンシステムアーキテクチャを特徴としている。効率性を最大30%向上させ、居住者に快適さを保証するという。
EcoStruxure Industrial Softwareは、人とプロセスのシームレスな連携ができる拡張性や専門領域の知識を組み合わせ、リスクマネジメント、データのセキュリティ、性能要件を損なうことなく、TCO(総所有コスト)を低く抑えることを可能としている。
トリコワ氏は「今後、オープンエコシステムとしてパートナーとの提携や産業界のコンソーシアムとつながり、ビジネスパートナーとともに成長していきたいと考えている。われわれが提供するソリューションで得たデータを必要な形で分析し、活用することが重要となるだろう」と語る。
今回の基調講演で感じたことは、同社における「持続可能性」の重要性についてだ。確かに、大手、中小のIT企業から持続可能性という言葉を聞く機会は多い。しかし、同社はエネルギーマネジメントという観点から、新しい3つのソリューションに加え、電力供給、電力グリッド、プラント、IIoT向けのソリューションを備えている。
エンタープライズにおいて、電力供給停止のリスク低減と省電力化は至上命題だ。これを置き換えれば、市民の生活にも帰結する。今回、新たに発表したソリューションの展開も含め、今後の同社に期待したい。