一方、所属するスタッフがほぼ全員、リモートワーカーという企業もある。オンラインアシスタントをメイン業務にするキャスターも、そうした企業のうちのひとつだ。

UZUZの場合、会社の上層部からリモートワークの指示あるいは許可を得て、社内で必要な業務をこなすというスタイルだったが、キャスターではほかの企業からオファーされた業務を請け負い 、それをリモートワーカーが処理する。イメージとしては派遣業に近いが、一般的な派遣スタッフのようにオフィスへの出社はない。オンライン上で業務を完結させる。

キャスター 代表取締役 中川祥太氏

なぜ、このような業態になったのか。キャスターを創業した代表取締役 中川祥太氏はそのいきさつを語る。

「以前、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に関わる業務に就いていましたが、スタッフを募集してもなかなか集まらないし、一人を雇い入れるのにコストもかかります。人数が増えればセンターも増設しなくてはならないでしょう。一方で、クリエイターなどと企業の仕事を結ぶマッチング掲示板には、毎日のように書き込みがあります。ならば、オンラインで完結する就業スタイルを確立してみようと起業しました」(中川氏)。

最近では、社員の経費処理や出勤簿チェックといった管理業務をアウトソーシングしている企業が増えている。キャスターでは、そうした業務をオンラインで請け負うというわけだ。事実、同社への依頼は、秘書系、経理系、人事系、ウェブオペレーションなどが多いという。

「オンラインで完結させれば」という、中川氏のねらいも当たった。それまで中川氏が過去に勤務していたBPO企業では、一人雇うのに数万円のコストを掛けていたのに、 キャスターには毎月5~600人、多い月で1,000人の応募がある。とはいえ、そのすべてを雇うわけではなく、人材を厳選する。

選考・採用もオンラインで実行

まず、応募はウェブのみ。そして、PDFで履歴書や職務経歴書を送ってもらう。その後、同社から掲示された業務に則した課題に対し、適切なアクションが得られた人材のみ面談に進む。つまり、ウェブが扱え、書類のPDF化をこなし、ビジネスの素養があるかがチェックされているのだ。この段階で残っているのは2~3割。その後、面談になり、ビデオチャットを活用するが、もちろんこうしたITソリューションを使えるかが試され、最終的に雇用にいたるのは1%ほどだという。裏返せば、同社の採用試験を突破する人材は、リモートワーカーとしてのスキルを満たしていることになる。