スマートフォン活用の狙いは若い世代の開拓

そもそもなぜ、ダイドーはSmile STANDを展開するに至ったのだろうか。同社の取締役 執行役員 経営戦略部 部長の笠井勝司氏は、8月17日に実施された新サービス発表会において、同社の主力事業である自動販売機を取り巻く環境の変化が、その背景にあると話す。 ダイドーは飲料メーカーだが、その販路の中心は自動販売機だという。実際同社は、全国に28万台の自動販売機を設置・保有しており、売上の80%が自動販売機によるものであるなど、自動販売機が同社のビジネスに欠かせないものになっているそうだ。

だが一方で、最近はコンビニエンスストアやスーパーの出店数が増加し、さらにドラッグストアでも飲料が購入できるようになるなど、飲料の販売チャネルが増えて消費が分散し、多様化しているとのことだ。自動販売機の市場は、そうした多様化の影響を受けて縮小傾向にあるだけでなく、主要な顧客層も40、50代と比較的高年齢層が中心であり、20、30代の若い世代に利用が広がらないという課題を抱えているのだそうだ。

コンビニエンスストアやドラッグストアなど飲料販売チャネルの多様化の影響を受け、20、30代の若い世代の利用をいかに増やすかが大きな課題になっているという

そこで同社では、20、30代を中心としたワークショップを実施し、さらに2014年12月からは、外部の企業から自動販売機の新しい価値を作り上げるアイデアを募る「アクセラレータープログラム」を実施。さまざまな手を尽くして若い世代を取り込むためのサービスを検討してきたという。

そうした中から生まれたのが、顧客と自動販売機の新しい関わり合いを生み出すため、スマートフォンを活用するというものであったという。それを具体的な形にしたのが、スマートフォンと自動販売機が連携するSmile STANDなのだそうだ。

実力を発揮するには稼働台数が足りない

同社の経営戦略部 事業開発グループの西祐介氏によると、サービス開始から1年が経過した現在、Smile STANDのアプリをダウンロードしたユーザーは30代が中心と、従来より若い世代に利用される傾向が強いとのこと。一定の成果を生み出したことから、よりSmile STANDの利用を増やすべく新たな施策を打ち出したようだ。