移転から1年、新設されたハブエリアやホワイエやフリーアドレス制が完全に浸透したわけではない。

ホワイエ

「マネジメント層の一部からはフリーアドレスは管理しづらいという声もありますし、なんとなく固定的に使われている席があったり、ある程度チームでまとまって座っているようなところもあります。強制的に席替えをしたりはしていませんが、よりフリーアドレスを活用してもらえるように模索中です。ただ、執行役員の中に非常に積極的な方もいて、今日は違う席にしてみたら?などと声をかけてくれたりしています」と西畑氏は語る。

個人の荷物をロッカーに保管することや、就業時に私物を確実に収納することなどについては、一度告知しただけでスムーズに実行されているという。フリーアドレス制への抵抗というよりは、新しい環境への慣れが必要な状態だ。

フリーアドレスの利用風景

個人の荷物はロッカーに収納

「ホワイエの活用方法は分科会でも検討しています。こんな風に使っていいんだという体験をしてもらわなければなりません。何もしないと使われない空間になってしまいます。また、ハブエリアは全体へ呼びかけての簡単な商品説明などを行う場としてうまく使われるようになりました。従来は自分が扱っているもの以外はよく知らないという社員も多かったのですが、ちょっと聞いてください今から説明しますと呼びかければ30人くらい集まったりもするので、知識の共有の場になっています」と宮地氏は語った。

半期ごとの意識調査では手応えもしっかり

現在も分科会活動は2週間に1度の頻度で行われている。1分科会あたり半期で4つ程度の施策に取り組んでおり、4分科会で16施策が完了するようなペースで変革は進んでいるという。分科会は決定している施策の数をこなすことを目標としているわけではなく、必要性や実行について考える活動が主体であるため、取り組みやすいものから手をつけているところもあり、全体的に見ると本格的な展開はこれからという感覚もある。

「半期ごとに評価を行っています。移転前と移転後、そして今年に入ってからと3回意識調査を行った結果、すべての評価項目でオフィス移転前よりも高い結果になりました。具体的な施策の効果はまだ実感できていない中でありますが、プロジェクト活動に関わっているか否かにかかわらず、オフィス全体に変革の意識が芽生えてきていることを、この意識調査の結果から感じています。」と西畑氏はオフィス改革の効果を語る。

今後は、ショールームのさらなる活用や、効率的な働き方の促進といったこともさらに進められる予定だ。

「今の取り組みをさらに高める必要もありますし、本社だけの取り組みとせず、全社に広げていかなければいけないという思いもあります。分科会活動もしっかり続けて行きたいところですが、いつか社内で分科会でやっているようなことが自然と行われるようになれば、その役目も終わるのかもしれません」と瀧澤氏は今後の展開について語った。