さらに、今までのマルチタスクメニューと異なる点は、画面分割をした際、そのアプリの組み合わせごとSpacesのデスクトップとして残し、他のアプリを開くことができるのだ。いくつかの仕事のパターンを考えてみよう。

例えば、原稿執筆のためのエディタアプリ「Ulysses」と、メモを作っていた「Evernote」の組み合わせは、筆者も良くiPad Proでの原稿執筆の際に使うパターンだ。また、RSSリーダーアプリの「Reeder」と「Twitter」という組み合わせも、ニュースを読んでツイートする場合に良い組み合わせと言える。アウトライン編集アプリ「CloudOutliner」で考えた構成を見ながら、「Keynote」でスライドにまとめるという作業も快適に行える。

アプリの組み合わせを、Spacesに別々に残しておくことができる

これらのアプリの組み合わせを、Spacesに別々に残しておくことができる点が、iOS 11での進化のポイントだ。iOS 10では、作業を切り替える際に、いちいちアプリのペアを作り直さなければならなかった。それを考えると、iPadが単体のアプリではなく、複数のアプリによるワークフローを構成する際に便利なデバイスへと変化したことが分かる。

また、アプリは1つの画面で最大4つ、走らせることができる。

例えば、前述の例で行くと、原稿執筆のためにUlyssesを開き、Evrenoteのメモと画面分割して原稿を書いているとする。そのとき、ウェブで確認したい情報があった場合、画面分割で開いているEvernoteをSafariに切り替えて調べ物をし、またEvernoteに戻して原稿の続きを書く、というプロセスを経る必要があった。

しかしiOS 11では、画面分割をしている上で、さらにもう1つ、フロートでアプリを表示することができる。Ulysses+Evernoteを保ったまま、Safariを起動したり、メッセージの返信をしても、トレーで表示されたアプリを引っ込めれば、再びUlysses+Evernoteの組み合わせに戻ることができるのだ。

率直に言って、この使い勝手は、Macのそれを上回るとも感じる。

さて、先ほど、「1画面で最大4つのアプリ」と説明したが、画面分割で2つ、フロートで1つ、ここまでの説明では3つのアプリしか登場していない。もう1つのアプリは、ビデオのピクチャ・イン・ピクチャ表示だ。