筆者がiPadのワークフローで使うアプリのほとんどは、iPad、iPhone、そしてMacにアプリが用意されており、データはiCloudや独自のサーバで同期される。

テキストエディタのUlysses、CloudOutlinerはiCloud同期が行われ、EvernoteやMicrosoft Wordなどはそれぞれのクラウドにデータが保存され、常に最新の状態が保たれる。そのため、筆者にとっては、iPadでのファイル管理についてさほど重要性を感じていなかった。

ちなみに、Office 365は契約すると1TBのOneDriveがついてくるが、これが速度が速いことから、筆者のメインのクラウドストレージに落ち着いている。iCloudフォトライブラリを利用するために、iCloudも200GBだけ契約している。またDropboxの無料+ボーナス分の20GBほどの容量もあり、3つのクラウドを併用している。

iOS 11では、iPad(やiPhone)本体、iCloud、OneDrive、Box、Dropboxなどのクラウドストレージにあるファイルを管理することができる「ファイル」アプリが搭載される。いままで、そもそもiPad本体のファイル、という概念がなかったし、クラウド上のファイルは書くクラウドのアプリからアクセスしなければならなかった。これを統合できるようになることで、今までのコンピュータと同じ感覚をiPadに取り込めるのだ。

iOS 11で利用できるようになる「ファイル」アプリ

さらに「ファイル」アプリは、MacのFinderより優れているところがある。それは、クラウドサービスを串刺しにした検索や「最近使った項目」を表示することができる点だ。もちろんMacでも、クラウド上のファイルをMacに同期することで、Mac本体に保存されているファイルとして複数のクラウドをまたいだ検索を行うことができる。しかし、それはあくまで、Mac上に保存されているファイルが対象だ。

例えば、手元のMacが256GBのフラッシュストレージしかなく、クラウドに500GBのファイルが保存されている場合、各クラウドサービスともに「選択同期」を行い、手元のコンピュータのストレージを節約する。筆者も、過去の写真はクラウドに保存し、手元のストレージの少ないMacとは同期していない。

その際には、前述のように、Mac本体にはファイルがないため、検索することができないのだ。一度ウェブブラウザでクラウドサービスを開いて検索する必要があり、複数のクラウドを使っている場合、どこにあるのか把握していなければ、いくつものサービスで検索をしなければならない。

しかしiOS 11の「ファイル」は、ローカルにファイルがなくても、複数のクラウドをまたいだ検索を行えるのである。これも、Macを上回るiPad体験を実現しているポイントだ。