受賞したEV活用アイデアを解説する太田准教授

では、太田准教授率いる東京都市大学 電力システム研究室が応募したEV活用のアイデアとはどういうものか。まず、EVを単なる“移動手段”という考えから離れ、多量のエネルギーを運べるビークルと捉えた。

貸与されるe-NV200は、190kmの航続距離を支えるため、総電力量24kWhの駆動用バッテリーを搭載する(日産e-NV200諸元表より)。太田准教授によると、iPhoneのおよそ3,000倍もの電力量だという。そして、このエネルギーを共有できないかと考えた。つまり、EVで電力を各事業所に運び、そこで必要な電力を供給することでエネルギー・マネジメントに生かすというものだ。ちなみに貸与されたe-NV200は、放電機能を標準搭載している。

再生可能エネルギーを持続的に活用

EVへの充電にも一工夫されており、EV車両そのものに太陽光発電を搭載。さらに各地に広がるキャンパスには太陽光発電プラントが設置してあり、そうしたプラントからの充電も行う。さらには、遠隔地にある風力発電からセキュアで安価に電力を入手できる取り組みが進められており、そうした仕組みを利用することも検討している。

仮に建造物のコンセントや公共の充電スポットで電力を入手した場合、化石燃料で発電されたものとなり、再生可能エネルギーではない。だが、キャンパス内の太陽光発電スポットなどを活用すれば、再生可能エネルギー利用による持続可能(サステナブル)な運用が行える。

同大のアイデアは、この「サステナブルマイレージ」と「エネルギーシェアリング」が2本柱といえるのだ。

幸い、渋谷や二子玉川、横浜などにキャンパスは広がっており、スマートハウスを模した研究施設も同大は所有している。こうした施設間を2台のEVが行き交い、電力のシェアリングの実証実験に取り組んでいく。