2017年4月、ガス自由化が実施された。ご存じのとおり昨年4月には電力完全自由化が始まっており、電力販売だけみても、現在およそ400社のいわゆる“新電力”と呼ばれる企業が参入してきた。そしてガス自由化にともない電力の“ガリバー”が動く。

電力のガリバーといえば、もちろん東京電力のことだ。2017年2月時点で21,853,643千kWhを誇る電力販売量は、2位の中部電力の電力販売量10,890,518千kWhを大きく引き離し、圧倒的な1位(数値:一般社団法人エネルギー情報センターより)。ただ、もっとも人口を抱える首都圏に電力を供給しているのだから、当然といえば当然といえる。

しかし、着目したいのは、電力だけではなく天然ガス(LNG)の分野においても日本トップクラス、いや世界でも屈指の事業者になりうるポテンシャルを秘めていることだ。

その最大の原動力がJERAという企業だ。この企業は東京電力と中部電力の発電部門が50%ずつ出資して設立された合弁企業。燃料上流・調達を主事業とし、年間約4,000万トンものLNGを調達し、東京電力や中部電力などに供給している。ちなみに東京ガスは、この4月に九州電力と提携し、両社のLNG調達量は約1,800万トンとなる。ガス販売が本業の東京ガスと比べても、JERAのLNG調達量が抜きんでているのがわかる。

世界中からLNGを調達するJERA。写真はアメリカからのLNG調達で同国からは日本初(写真:JERA)。右はLNG貯蔵基地機能を有した東扇島火力発電所(写真:東京電力HD)

LNG調達量が増えた理由

ただ、東京電力がこれほどLNGを調達しなくてはならないのには、大きな理由がある。福島原子力発電所の事故により、原発での発電がままならないからだ。化石燃料による発電は石炭・石油といった選択肢もあるが、CO2の排出量に難がある。水力や太陽光、風力といった再生可能エネルギーによる発電は、電力量が少ないうえ、天候に左右されるという難がある。原子力が使えないという現状を考えると、LNGによる発電に頼らざるをえないということだ。

とはいえ、電力供給量、LNG調達量から考えると、“電力のガリバー”ではなく“エネルギーのガリバー”といってもまったく過言ではなく、国の根幹をなす企業であることは確かだ。

と、ここまで書くと、東京電力は日本を支える巨大エネルギー企業のため、ともすれば“威圧的”“傲慢”というイメージに結びつくかもしれない。だが、独占的事業に“あぐら”をかいているような企業ではないことを、ここ最近、強く感じている。