特定ジャンルにおける「お手本」としてのSurface

だが、新たな可能性を模索しているのはPCメーカーも同じことだ。果たしてマイクロソフトは、PC市場から既存のメーカーを追い出し、覇権を握ろうとしているのだろうか。

いまのところ、マイクロソフトの目的は、「お手本」となる製品の開発にあるようだ。その具体例として、最近はレノボやデル、HPなどの大手PCメーカーが、Surface Proによく似た製品を堂々と売っているのだ。

「Surfaceスタイル」のPCのひとつ、レノボの「Miix 720」

ここまで似ていると、さすがにマイクロソフトが怒るのではないか、と心配になる人がいるかもしれない。だがマイクロソフトはこれらを「Surfaceスタイル」の製品として紹介したり、米国に展開する「Microsoft Store」で販売したりしているのだ。

このように、Surfaceシリーズの投入で新たなカテゴリーを開拓し、他のPCメーカーとともにWindowsの市場を拡大するというのが、ここ数年のマイクロソフトの基本戦略だったといえる。さらに開発者向けイベント「Build 2017」では、スマートフォンとしてiPhoneやAndroidを取り込むことで、これまでシェア獲得に失敗してきたモバイル市場にエコシステムを拡大する戦略を発表した。

果たして5月23日には、どのような製品が登場するのだろうか。かねてから噂のあった「Surface Pro 5」について、マイクロソフトは否定している。だがPC製品にとどまらず、マイクロソフトが取り組む「MR」(Mixed Reality)や音声アシスタントの「Cortana」についても、新たな市場を切り開くSurfaceデバイスの登場を期待したい。