NECパーソナルコンピュータは7日、2017年春製品として18モデルを追加し、全45モデルを展開すると発表した。特に力を入れるのは、4代目「LAVIE Hybrid ZERO」と新製品の「LAVIE Note Mobile」。いずれも学生向け商品としての位置づけだ。若者のパソコン離れが進む中で、同社はどう学生を取り込むのか。

学生向けモバイルパソコンで勝負。新製品を手にする留目真伸 NECパーソナルコンピュータ社長(左)、女子大生タレント 近藤カコさん(右)

進む若者のパソコン離れ

近年、若者のパソコン離れが進んでいると言われている。少し古いが、同社が引用した資料によると、13~15歳は7割、16~19歳は3割がパソコンの非所有者となっている。若者のパソコン離れが進んでいるとすれば、さらにこの数値は高まっていると見るべきだろう。 理由として考えるならば、スマートフォンが登場したことに尽きる。外出時に手軽に持ち運べるパソコンの代替的存在と考えれば、パソコン離れが進んだのも納得できるところだ。

パソコン非所有率。図表内の一番上の青の折れ線が日本。諸外国に比べてパソコンの所有割合が極端に少ないことがわかる(出典:内閣府の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(2013年)」をもとに舞田俊彦氏が作成したものを再作成したもの)

しかしながら、スマホ偏重の利用は、就職してから困ってしまう。デスクワークはパソコンありきで始まるものだからだ。そして、若者のパソコン離れの影響は、企業の採用現場からも声が挙がっている。

同社の調査結果によると、学生のパソコンスキルは「下がっている」「やや下がっている」が全体の半数近くに迫っており、「マウス操作もわからない新人がいた」「画面をタッチするとカーソルが動くと思っていた」といった人もいるようだ。

図表右側の円グラフに注目。学生のPCスキルについて、青が「下がっている」、赤が「やや下がっている」とし両方で半数に迫る勢い

後段に記すとおり、この何気ないデータの取り出し方には、同社のメッセージが隠れているように見えて仕方がないのだが、いずれにせよ、若者のパソコン離れを逆に捉えれば、市況開拓の余地が大きいことになる。同社が春製品で学生向け商品に力を入れるのも、そうした理由からにほかならない。

ただし、特長をつけなければ学生には振り向いてもらえない。これまでもキャンペーンレベルでは学生向けに展開してきた同社だが、今回は開発の段階から学生向けに取り組んだことが従来とは大きく異なるところだ。