Appleは20日、4月22日のアースデイを前に、表参道、銀座、名古屋、心斎橋、福岡のApple Store実店舗でAppleロゴの葉の部分をグリーンに変更した。スタッフの着用するT-shirtsもグリーンになっている。同日、Apple 表参道では、ジュニア向けプログラム「Field Trip(フィールドトリップ)」が開催され、鳥取大学付属中学校の3年生がiPadを使ったワークショップを楽しんだ。

葉の部分がグリーンに変更されたAppleロゴ

アースデイにAppleロゴの葉の部分をグリーンに変更し、スタッフもグリーンのT-shirtsを着用するというのは例年行われているが、前年に続き、今年も前倒しでの実施となった。期間はさらに延長され、28日まで継続されるとのことだ。ロゴの葉の部分を変更しているのは、表参道、銀座、名古屋、心斎橋、福岡の5店舗で、渋谷と仙台はストアのガラス部分にロゴの葉の部分をグリーンにしたステッカーが貼られている。

スタッフの着用するT-shirtsもグリーンに

店内にディスプレイされているiPhone、iPad、Macにもアースデイ向けのスクリーンセーバーがインストールされており、緑の地球がアースデイ向けAppleロゴに変容するというアニメーションが見られるようになっている。

店内のMacにもアースデイ向けのスクリーンセーバーがインストールされていた

また、Apple Store実店舗でApple Payを利用すると、1回の購入に対して1ドルが世界保護基金(WWF)に寄付されるようになっている。Apple Storeアプリを利用しての購入も同様で、Apple Payを使うと1ドルがWWFに寄付される(ちなみにApple Online StoreでのApple Pay利用は、現時点で非対応となっているのでご注意頂きたい。何を購入しようが、Apple Pay非対応なので、当然、WWFには何も寄付されない)。

今回のワークショップでは、iPad ProとApple Pencilを使用し、アースデイにちなんだ、メッセージを添えたポスターを制作する

筆者は、取材でApple 表参道を訪ねたのだが、この日はジュニア向けプログラム「Field Trip(フィールドトリップ)」もあわせて実施されていた。参加したのは鳥取大学付属中学校の3年生5名。5名? フィールドトリップの参加者がそんなに少ないのってありえるの? と思われるかもしれないが、この日、同校の生徒は、修学旅行で都内を訪れており、小さいグループに分れて実地研修に臨んでいたのだ。あるグループは気象庁、警察庁へ、別のグループはJAXAへといった具合に。

この研修がユニークなのは、生徒たちが、自分たちで話を聞きに行きたいところを決め、自分たちでアポをとって出向いているというところだ。同行できる教員の数も限られているので、引率の先生がいないグループもあるらしい。ここに行きたいと思っても、先方から断られるというケースもあったということだが、Apple Store訪問を計画したこのグループは、運良くもと言うか、AppleにはAppleらしいプログラム、フィールドトリップが提供されているので、そこへ上手い具合にピースが嵌まるという形と相成った。

素材の加工法のレクチャーがスタッフより

今回のワークショップでは、iPad ProとApple Pencilに、Tayasui Sketches Proというスケッチ制作向けのアプリを利用し、絶滅が危惧される動植物のポスターをメッセージを添えて描いていくというものだ。添えられるメッセージは、地球上で起きている環境問題を参加者全員で考え、どうやって解決していくか糸口を探るという意味合いを持っていて、ワークショップ自体が、今、自分達に何ができるのか議論するような場となっている。この着想はとても重要だと感じられた。何故なら、手を動かしてできたもの全てがイコール創造的なものではない、ということを示唆しているからだ。普段からWebメディアなどで情報を発信しているITライター/ジャーナリストの多くが、iPhoneやiPadはクリエイティブなツールであると喧伝する。それらを使って動画を作ろう写真を撮ろうと指南し、SNSやブログなどに投稿しようと煽り立てる。しかしながら、そこで紹介されている殆どのケースに於いて、創造性を発揮する上で必要な思考のプロセスがごっそり抜け落ちているのだ。批判的に物事を捉えず、検討もせず、なんとなく綺麗な画像や動画を並べたところで、それらが果たして創造的なものであると言えるだろうか? それらは何かを表示してはいても、恐らく何も表明はしていまい。そんな状況がある中、今回のワークショップはiPhoneやiPadが本当にクリエイティブな道具足りうるのに何が必要なのかというヒントを与えてくれたのである(だが、決して教えてはくれない)。フィールドトリップの取材には何度も訪れている筆者だが、スタッフ含む参加者全員でこの大きな問題に相対しながらというアプローチは、特にハッとさせられる場面だった。

ネタは環境省のWebサイトとWWF JapanのWebサイトから拝借

モチーフとなる動植物は環境省のWebサイト及び、WWF JapanのWebサイトに掲載されている画像を拝借していた。環境省では「いきものログ」という、生き物の情報を集積して、ユーザー間で共有できるシステムを提供しており、WWF Japanでは、スタッフブログで現在の活動報告とともに、さまざまな生き物の画像や動画が投稿されている。そこから素材となる画像をダウンロードして、Tayasui Sketches Proに取り込み、生き物の姿をApple Pencilを使ってトレースしていく。

生徒達もスタッフと一緒にお客さんを迎えることに

……と、その前に、この日は特別なイベントが催された。実は今回のフィールドトリップ、開始がApple 表参道の開店時間に先立つ9時半からとなっていたのだが、スタッフから、折角だから、オープン時間にお客様のお出迎えをやってみませんか?というアイディアが寄せられる。すると、滅多にないチャンスとばかりに、生徒達はエントランスへ。一緒になって、開店待ちをしていたお客さんをハイタッチで迎えた。こういう応対は接客マニュアルにはないと思われ、勝手にやったら怒られそうな気がするが、Apple Storeでは現場での実践的な方法論を取り入れてるということなのだろうか。拙稿で再三指摘している、コミュニティスペースとしてのApple Storeというあり方、という取り組みが反映されてのことなのかもしれない。

熟考を重ね素材を選ぶ

話をフィールドトリップに戻すと、5人とスタッフはテーマを熟考しながら素材を探し、iPad ProとApple Pencilを使って作業に没入していった。操作に関しては普段から使っているということだろう、とても手馴れたものであった。

普段から使っているからか、作業はとても手馴れたものだった

一時間強の作業のち、成果を発表。描き上げたポスターと添えられたメッセージの内容を一人ずつ紹介していく。どの生徒も、未来を作り上げるのは自分たちという問題意識を持っていて、「自然を守ろう 未来のために!」「涙はもう流したくない」など、地球で暮らすのは人間だけでないというストレートな意思が伝わってきた。悪い意味での忖度でなく、共に暮らす「他者」への思いやりに溢れており、我々は「排除」に向かってはならないのだという気概にもまた満ちていた。

作品発表の様子。作成したデータはプレゼントされるUSBメモリ付きのバンドに収められ、後日、修学旅行の研修発表でも披露されるとのこと

最後は修了証書と成果が収められたUSBメモリ付きのバンドの授与。恒例の記念撮影は、ロゴの葉の部分がグリーンになったAppleロゴをバックに行われた。

ロゴの葉の部分がグリーンになったAppleロゴをバックに記念撮影

前述の通り、ロゴの変更、T-shirtsの着用、そして、Apple Payを通じてのWWFへの寄付は28日まで実施される。また、「環境」のWebサイトも更新されている。こちらでは、Appleの現在の環境問題への取り組みがQ&Aの形式で紹介するとともに、使用済みのiPhoneを分解するロボット「Liam」の稼働状況の報告などが掲載されている。なお、Apple製品は、Apple Store実店舗かオンラインでリサイクルできる。他社製スマートフォンを下取りに出すことも可能で、デバイスが回収条件を満たす場合は、Apple Storeギフトカードがプレゼントされる。この機会に、環境問題に触れながらApple Storeを尋ねてみるのも良いのではないだろうか。