既存のテレビには、BS・110度CSの右旋、左旋による4K放送向けのチューナー搭載されておらず

現在、発売されている4Kテレビは、スカパーの4K放送に対応したチューナーを搭載し、インターネット接続によって、ネットフリックスなどの4K配信サービスなどに対応している。それによって、4Kコンテンツの視聴が可能となっている。だが、BS・110度CSの右旋、左旋による4K放送向けのチューナーは搭載されていないため、今後、実用放送が開始されたときには、新たにチューナーを追加するか、チューナー機能を搭載したレコーダーなどを接続する必要がある。

もちろん、実用放送が始まるタイミングでは、BS・110度CS対応チューナーが内蔵された4Kテレビが発売されるのは明らかであり、さらに、CATV事業者のサービスを通じて、BS・110度CSの右旋、左旋による4K放送のコンテンツが再配信される可能性は高い。だが、いま販売されている4Kテレビは、すべて衛星での4K放送を受信するためのチューナーが搭載されていないことは知っておくべきだ。

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)では、同協会のサイトや協会加盟メーカーなどを連携して、「現在メーカー各社から販売されている4K対応テレビや4Kテレビには、BS・110度CSによる4K・8K放送を受信する機能は搭載されておりません。実用放送に向けて商品化が期待されるBS・110度CSによる4K・8K放送の受信機能を搭載した外部機器と接続することで、新たな4K放送を視聴できるよう準備が進められています」といった内容で告知を行っている。だが、この仕組みに対する認知度が低いのは事実だ。

A-PABが2016年9月に行った調査では、現在販売されている4Kテレビでは、衛星による4K実用放送が見られないことを知っていた人は6.5%。つまり、93.5%の人がそれを知らないということもできる。

アンテナの追加購入が必要

BS・110度CSでは、新たに左旋が加わったことで、これまでの右旋専用アンテナでは、左旋による放送が受信できない。現在のフルHDによるBS放送では右旋を使用しており、BS右旋での4K放送は視聴できるが、左旋による4K放送を視聴するには、右左旋共用アンテナを使用する必要があるのだ。

右旋右左旋共用アンテナは、すでにアンテナメーカー各社から発売されているため、買い換えなどの予定がある場合は、右左旋共用アンテナにしておいた方がいいだろう。

JEITAでは、BS・110度CSによる右左旋用受信機のうち、一定以上の性能を満たしたアンテナやブースター、分配器、壁面端子、混合器、直列ユニット、分波器に「SH(スーパーハイビジョン受信)マーク」を付与。すでに認定製品が300以上に達しており、同マークが付与された機器を利用することを推奨している。

また、A-PABでは、周知広報ワーキンググループのなかに、左旋準備タスクフォースを設置。受信システムの普及活動を行う考えを示している。また、テレビ受信向上委員会では、全国の電気店や電気工事店を対象にした新技術セミナーに講師を派遣。さらには、分譲マンションの管理会社を対象にした全国支部でのセミナーを開催し、集合住宅における改修のポイントを解説。日本CATV技術協会との連携により、受信システム施工会社などに左旋試験放送を利用した伝送試験なども行っていくという。

A-PABでは、「設備によっては、ケーブルの張り替えなどの改修が必要になる場合もある。また、アンテナ交換だけではなく、ブースターや混合器、テレビ端子も左旋に交換する必要がある」とする。

こうした業界内に向けた告知を進める一方で、今後は、エンドユーザーに対して、4Kおよび8Kに関する正しい知識の周知、普及活動が進められることになる。