フジテレビと日本マイクロソフト(MS)が「新しい視聴者体験を提供するクラウド/AI技術」で連携する。具体的には、フジテレビが新たな才能の発掘を目指して運営する動画投稿サイトにMSの「Azure」を採用するということなのだが、果たしてAIは、ネット発のスター誕生に役立つのだろうか。

共同記者発表会に登壇したフジテレビ常務取締役の大多亮氏(左)と日本マイクロソフト代表取締役社長の平野拓也氏

動画投稿サイト「ドリファク」にMSの技術を採用

フジテレビは2017年1月に立ち上げた動画投稿サイト「Dream Factory」(ドリームファクトリー、以下:ドリファク)にMSのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を採用する。ドリファクはフジテレビが新たな才能を発掘すべく始めたもの。誰でも動画が投稿できる、いわばYouTubeのようなサイトだ。目標は、2020年までに世界で活躍するアーティスト、クリエイター、パフォーマーを生み出すことだという。

「スターを作りたい」。発表会に登壇したフジテレビの大多氏は、ドリファクを立ち上げた目的をこのように語った。もともとは別の放送局の番組だが、ドリファクはネットを使ったフジテレビ版「スター誕生」というような位置づけだ。

AIが可能にする新しい視聴体験

AzureのAI機能により、ドリファクの視聴者は今後、さまざまな動画の見方ができるようになる。例えば顔認証技術を使い、ある人物の登場シーンだけをハイライトして、そのシーンにジャンプするような機能や、動画に出てくる言葉(セリフなど)を検索して、その言葉が出てくる場面を探すといった機能が実現の見込みとなっている。

最初に使えるようになるのは自動字幕生成機能だ。実装は2017年7月1日の予定。まずは英語、中国語、スペイン語、フランス語、日本語の5カ国語で始まるが、対応言語は増えていく予定だ。

自動字幕生成機能のデモ画面。動画のセリフが右側にリアルタイムで表示された。日本語の動画だったが、他言語へと翻訳した字幕を表示する様子も確認できた

AIとの連携により、ドリファクのコンテンツ発信能力は高まる。まずは自動字幕生成機能が備わるわけだが、これの有無で、海外に対するコンテンツの伝わりやすさは格段に変わるだろう。フジテレビはドリファクを使った海外マーケットへのコンテンツ輸出にも乗り気だ。

では、スターになりたいと思った人が、YouTubeではなく、ドリファクに動画を投稿するようになる可能性については、どのように考えたらよいのだろうか。