消費電力測定(グラフ69~72)

最後に消費電力測定の結果を示す。テストはお馴染み、SandraのProcessor Arithmetic Benchmark(グラフ69)と3DMark FireStrikeのDemo(グラフ70)である。TDPで言えば、

  • Core i5-7500:65W
  • Core i5-7600K:91W
  • RYZEN 5 1500X:65W
  • RYZEN 5 1600X:95W

となっているが、グラフ69を見るとCore i5はもう少し控えめな消費電力で、RYZEN 5はそのTDP枠いっぱいまで使い切っている感じに見える。Precision Boostのお陰で、スペックいっぱいまで消費電力を使い切るのがRYZEN 5のウリの1つであり、逆に言えばIntelはまだTDP枠を使い切れないでいる、という事なのかもしれないが。

このグラフ69と70から、それぞれの状況における平均値を算出したのがグラフ71となる。さすがにRYZEN 5 1600Xはコア数が多いためか、やや待機時の消費電力も増えている。これは致し方ないところだろう。あとRYZEN 5はDDR4-2933動作に起因する、メモリ回りの消費電力が若干増えていることも念頭に置く必要がある。

これを考慮に入れた上で、待機時とそれぞれの実行時の消費電力の差を算出したのがグラフ72である。

Dhrystone/Whetstoneについて効率を算出してみると

Dhrystone(GIPS) 消費電力差(W) 効率(GIPS/W)
Core i5-7500 107.33 39.1 2.75
Core i5-7600K 122.50 47.2 2.60
RYZEN 5 1500X 116.22 72.0 1.61
RYZEN 5 1600X 179.12 90.8 1.97
Whetstone(GFLOPS) 消費電力差(W) 効率(GFLOPS/W)
Core i5-7500 65.71 33.0 1.68
Core i5-7600K 73.00 38.3 1.55
RYZEN 5 1500X 95.33 71.7 1.32
RYZEN 5 1600X 145.17 93.3 1.60

といったところで、ことIntegerに関してはちょっとRYZEN 5の分は悪い。ただ一般に性能を上げるほど、性能/消費電力比は落ちる傾向にあるから、逆にRYZEN 5はよくこの程度に留めたという見方もできる。Whetstoneに関しては、RYZEN 5 1500Xはやや分がわるいが、RYZEN 5 1600XはCore i5-7600Kを上回る効率になっているのは優秀として良いと思う。

FireStrikeに関しては、RYZEN 5はCore i5より20Wほど消費電力が増えているが、個人的にはこのうち4~5WはDDR4-3200のせいだと思っている。Dhrystoneでの効率を考えると、この程度の消費電力の差はやむをえないのではないかと思う。