お菓子の企業がフェイスパックを作る

フェイスパックをつくったのは、元々お菓子の販売などを行っている、一心堂本舗だ。歌舞伎座や明治座、新橋演舞場、京都 南座など歌舞伎や伝統芸能に縁のある場所に出店している。2008年、Tokyo Midtown Awardのデザインコンペ学生の部で小島梢さんが準グランプリを受賞した歌舞伎フェイスパックのデザインコンセプトを、同社の戸村憲人社長がインターネットで見たことがきっかけだという。「店に来る歌舞伎ファンだったらきっと欲しがるだろう」(戸村社長)と小島さんに声をかけ、プロジェクトをスタートさせた。

最初、フェイスパックを製造している企業に話を持っていったものの、模様が描かれたパックを製造したことがなく、インクが顔につくと問題になると断られたという。そこから肌に問題のないインクを作っている企業、色落ちをしない印刷技術を持っている企業、顔の形にシートをくりぬける企業、美容液を作っている企業など専門技術を持つ7社に得意な工程だけを依頼する分業制を構築して商品化にたどり着いたのだそうだ。

直営店はもちろんのこと、空港などのお土需要のある場所、東急ハンズやロフトで販売されている。戸村社長によると、「様々なキャラクターの版権をお借りしているので、安売りされてしまう恐れがないところとか、見えるようにしている」と販路は絞る戦略で、卸業者は通さず直販を続けている。今後も日本のコンテンツが世界に広げていけるようにしていきたいのだという。どこまで日本文化の認知を広げ、親しみをもっともってもらえるようになるか。フェイスマスクの快進撃に期待したい。