モバイル・コミュニケーションは、欧州地域を中心としたスマートフォンの販売台数減や、前年度に事業縮小を図った不採算地域でのスマートフォンの販売台数減が影響するなど売上高の縮小が続いているが、営業利益は費用削減効果と、スマートフォンの価格が安定化したことで、第3四半期累計では447億円増の253億円と黒字転換。「通期黒字化を目指したい」とする。2016年度通期見通しは、11月公表値に比べて売上高が200億円減の7600億円としたものの、営業利益計画には変更がなく50億円。2016年度にまずは黒字化することが、2017年度の勢いにつながることになる。ちなみに、2016年度のスマートフォンの販売計画は、200万台下方修正し、1500万台。前年の2490万台から大幅に削減することになる。

イメージング・プロダクツ&ソリューションでは、市場全体の低迷により、販売台数減が続いており、第3四半期累計でも売上高は、19.9%減の4247億円、営業利益が202億円減の435億円と減収減益。だが、静止画・動画カメラにおける高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善が貢献。2016年通期見通しは、売上高で100億円上方修正して5700億円、営業利益は90億円増の430億円とした。デジタルカメラの出荷計画は、20万台上方修正し、400万台を目指す計画。少しずつ勢いがついてきたといえる。

また、ホームエンタテインメント&サウンドでは、為替のマイナス影響で第3四半期累計では、売上高は12.7%減の8242億円と減収になったが、4Kテレビの販売増加など、高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善がプラスとなり、営業利益は59億円増の637億円。2016年度通期見通しは、売上高が200億円増の1兆300億円、営業利益は60億円の530億円といずれも上方修正してみせた。

これらのエレクトロクス事業が、今後、利益をどれだけ積み上げれるかが、5000億円達成の鍵になる。

1Q-3Qのセグメント別業績(左)と、通年ののセグメント別業績見通し(右)。エレクトロクス事業の積み増しが、中期経営計画の達成の鍵となるようだ

今こそエレキの復活・成長が必要

2017年1月、米ラスベガスで開催されたCES 2017の会場で取材に応じたソニーの平井社長は、「市場の不安定な環境や、熊本震災の影響もある。しかし、掲げた目標についてはやらなくてはならない。それに向かって、チーム一丸となってやっていくことを新たに決意した」と、計画達成に向けて歩む姿勢を改めて宣言してみせた。

ここでは、「営業利益5000億円達成に向けた大きな原動力は、エレクトロニクス事業」と位置づけ、「各事業部や分社化した子会社の商品が強くなってきたこと、テレビも250億円を超える利益を出してきたことなどもプラス要素である。BRAVIA、α、サイバーショット、ウォークマン、プレイステーションなど、ソニーブランドのコンシューマエレクトロクス商品において、ソニーらしさを感じてもらえるようになり、これらの事業がソニーグループの収益を大きく改善する基盤になるところまで回復してきた」と語り、「これらにより、5000億円達成に向けて、力強く進んでいきたい。2017年度は『総括の年』として、結果を出していきたい」と、計画達成に意欲を見せた。

映画分野の減損により、2017年度の営業利益5000億円達成には、イエローシグナルが灯ったのは明らかだ。ソニーにとって、「本業中の本業」であるエレクトロニクス事業の成長が、計画達成の成否をわけることになる。