楽天モバイルは9日より、スマートフォンとセットで使用する個人向けドローン「MAVIC PRO」の販売を開始した。SIMとスマートフォンのセットで売り出し、割引きを利かせるが、引っかかるのはその値段。本体価格は税別14万4,259円とお高い。なぜ楽天モバイルは高額なスマホ関連商品を販売するのか。

4Kカメラ撮影も可能なMAVIC PRO

スマホとドローンという組み合わせは、子供が遊ぶ1万円程度のおもちゃを連想してしまうかもしれない。しかし、楽天モバイルが取扱うのは本格的なものだ。

「MAVIC PRO」は、無人自動空撮システム世界シェアナンバー1を謳うDJI製のドローン。操作はスマートフォンから行い、OSはiOS、Androidに対応する。通信距離は送信機の活用で最大4キロメートル。4Kカメラで撮影でき、最大27分間の飛行を可能とする。折りたたみもでき、500ミリペットボトルサイズにおさめて持ち運べる。

「MAVIC PRO」は4Kカメラで撮影可能。撮影対象を自動追尾するなどの機能も備える

楽天モバイルでは「MAVIC PRO」をスマートフォンとSIMをセットにして販売(SIMのみのセットもあり)する。セットで売り出すことで、対象スマホの販売価格を約1万3000円ほど割引き、販売を促進する考えだ。

セットで購入することでスマホの販売価格が割り引かれる

楽天モバイルの狙いは?

今回の商品は、スマホが必須のデバイスとなるため、楽天モバイルとの親和性は高い。セット商品が売れれば、楽天モバイルユーザーが増える。ざっくりといえば、ユーザーの拡大が楽天モバイルの狙いとなる。

楽天モバイル事業 チーフプロダクトオフィサーの黒住吉郎氏も「シンプルに考えるとそうなる」と認めつつ、「ドローンを使ってみると、バッテリーがどんどん減っていく。そうなると別の回線(スマホ)が欲しくなる。メインの回線はドコモでもソフトバンクでもいい。いくつか回線があるなかで楽天を使ってもらえれば」とも話す。実際に使おうとすると、メインのスマホのほかに別のスマホが欲しくなり、契約数の増加が見込めるというわけだ。

しかし、それでは消えない疑問もある。単に楽天モバイルユーザーを増やしたいのであれば、もっと安価なドローンでも良かったはず。そもそも、ドローン自体、飛行区域が限られており、人を選ぶ商品だ。なぜ高額ドローンを選んだのか。そこを探ると楽天モバイルが目指すところも見えてくる。